言葉の波に揺られて ~最近気になる4つの文章~
ここ数か月で気になった言葉、文章を整理してみたいなと思います。
ひとつめ
自分がいつまでも若者のように喋ったり行動したりして子供たちにたしなめられてしまうちょっと痛いアラフィフなんですが、この伊藤比呂美の文章を読んだとき、びりびりしました。ぶってる場合じゃない。
それでも、5歳の私も15歳の私も30歳の私も同居してるのでときどきナイーブな若者の私が出てきてしまう。
それもいいけどね、先へ行こう、と言ってるような言葉。
解説の中の「もはや糊代さえ残されていない関係の中に」も。糊代さえ残されていない関係… なんとも突き詰めた表現でこれにもビリビリきました。
ふたつめ
言論の自由を与えよ、というプラカードの下に、いくら沢山な人が行進しようと、自分の苦心創作になる言論をだれも持っていなければ、自由の死骸を求めて、歩いている様なものだろう。
小林秀雄 「自由」美を求める心
学生の頃は難しいと決めつけ、全く興味のなかった小林秀雄の文章が最近沁みいってきたりします。
意味とかわかんなくていいんです。センター試験じゃないですから。
何がいいたいのかな?ときどき迷子になるんです。結局結論らしきものが曖昧だったりもします。読解力不足で困ります。
みっつめ
春にジワジワ近づいてくような霧雨の日は突如バックれたくなるのが人間というものじゃないでしょうか。雨宿りのつもりで入ったフレッシュネスバーガーでエネルギーが切れた。サラリーマンがサクサク歩いてるのを見ながらヌルくなったホットティーを飲んでる。サニーデイの〝恋人の部屋〟が良い曲過ぎる
— 燃え殻 (@Pirate_Radio_) February 23, 2017
Twitterでいちばんわくわくして待ってしまうひと、燃え殻さん。彼のツイートを読んでいるとイライラしたり感情が先走ったりしているときでも、なんだかくすっとなったり気持ちが和らいだり、一瞬やわらかい風が吹くようなそんな気分になります。
燃え殻さんの140字は文学になっているという人もいます。確かに上のツイートを読んでいるとその風景が目の前に現れて切り取られた一瞬に心をもっていかれたりします。
満員電車でムギュムギュにされながらメールを打ってるサラリーマンのスマホ画面が嫌でも見える位置にあり、またその文面が『今、大阪です』から始まっててちょっともうゴメン目が離せないでいる今 渋谷
— 燃え殻 (@Pirate_Radio_) June 8, 2015
いいなぁ。燃え殻さん。特にムギュムギュとゴメンのカタカナがいいんです。誰もが使えるカタカナなんだけど、彼が使うとなんか違う。
短い文字数のなかで何かを伝えるというのはとても面白くて、制限があるからこその何か言葉の佇まいというか味というかそういうのを感じられるのがとてもいいなあって思います。
Twitterは日本ではとても人気だけれど、短歌や俳句だってあんなに短い字数でたっくさんのことが表せて、そういう土壌があるのかもなと思ったりします。
よっつめ
最後は小沢健二。復帰が突然でびっくりしました。それも生のテレビに出るなんて!!熱心に聴いてたわけではないけれど、やっぱりあの時代の音楽を体現してるオザケンの歌は聴きたい!!
ミュージックステーションも、スッキリも見ました。歌のうまさはね…まあおいといて。昔の雰囲気に似てるし、何といっても歌詞がザ、オザケンワールドですね。
もしも間違いに気がつくことがなかったのなら?
並行する世界の僕はどこらへんで暮らしているのかな
広げた地下鉄の地図を隅まで見てみるけど
もしも間違いに気がつくことがなかったのなら?
並行する世界の毎日 子どもたちも違う子たちか?
ほの甘いカルピスの味が不思議を問いかける
この並行世界っていうワードがね。オザケンだよね。それでもって、「間違いに気がつくことがなかったなら」っていうのがね。
自分の選択はぜったいに正しかったって信じてるものね。
私なら、「間違いに気がついてたなら」って歌いそう。オザケンはあくまで上昇上昇。私は下降…
並行世界って、なんかわくわくしてきます。あの時ああしなかったなら。自分はどこにいて、こどもだって違うこどもだったのかな…って。
さまざまな地点でさまざまな選択をして今の自分がいるわけだけれど、何かがひとつ違っていれば、オセロでだって、人生ゲームだって、UNOだって、全く違う結果が待ってるように、自分の現在地も今とは違っていたのかもしれないよね…
そんなアレコレを妄想しながらオザケンを聴いている日々です。
おわりに
言葉ってこわいなぁって思うときがあります。特に、LINEやTwitterとかこのブログもそうですが、言葉だけで付き合いをしていると、ひとつの言葉が独り歩きを初めて、自分の思いどおりに伝わらないとき。
二重三重に意味をとれるような言葉を使ってしまったとき。
傷つけてしまったかもしれない…と背中に汗が流れるとき。
失敗を繰り返しながら、それでも惹かれる言葉たちを探し続けてます。
*日々の暮らし手帖
にほんブログ村