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「俺の家の話」8話 親子のいろいろを詰め詰めにした回

8話まで早かったなぁ… もうあと2話のみなんてさみしい。

https://www.tbs.co.jp/oreie_tbs/story/ep8.html

 

舞の叫び

8話は、家父長制の色濃く残った伝統芸能の家である「観山家」に生まれた舞(江口のり子)の叫びが突き刺さりました。

 

舞「わかる?この家で女に生まれて、女でいるのがどっんだけしんどいか。生まれた時から数に入ってないわけよ。舞はいいから。舞はいずれ出て行くからって。男の物差しで決められて。へこむわ、さすがに。息子に期待するしかないじゃん。」

 

能楽の世界だけじゃなく、歌舞伎だってそうだよね。女が家を継ぐことどころか、芸能自体に参加できない。

 

舞の叫びを聞きながら、私は寺島しのぶを思い出してしまった… 彼女は尾上菊五郎藤純子の間に生まれ、女優として活躍している人だけれど、以前雑誌かテレビで、自分の息子を歌舞伎俳優にしようとものすごく気合を入れて頑張ってるなぁと見ていて思ったことがあった。

 

ドラマ内でも、舞は、自分の息子のプロデュースに余念がない、という母親として描かれている。クドカンのドラマに寺島しのぶが出演していたりもするので、彼女の事が頭にあるのかなぁって思ったりもする。

 

伝統芸能の世界の話に限ったことじゃなく、ちょっと前までは、男子が生まれないと婿養子をとったりだとか、女性は数のうちに入らないなんて言うのはよく聞く話だった。

 

今もそう変わらない気もする。結婚した後に別姓を名乗りたくてもできない国って他にないらしいし、与党の政治家たちが全力でその法律を潰しに来てるのをみると脱力感しかない…

 

クドカンの、この女性への視線が感じられるシーン、江口のり子の演技、良いもの見たなぁって思いました。

 

諦めただけ

舞「あんたのことも許したわけじゃないからね。諦めただけで、心から許したわけじゃないし。たぶん一生許さないからね」

 

あんた呼び… 寿三郎が浮気をするたびに母は舞の所へきて泣いていた。舞の夫の不倫騒動から、舞の寿三郎への積年の恨みが爆発。

 

このセリフ、すごおおくわかる気がする。「諦めただけ」親って血が繋がってるだけに面倒で、他人ならスルーできても親だからこその複雑な思いが溜まっていってしまうんだよ。

 

6話の温泉旅行回で、大団円みたいに皆が仲良くなってるのを見せた後に、揺り戻しというか、人の気持ちってその時その時で揺れ動くし、きっかけ次第で崩れちゃうもんなんだ、というクドカンのビターな脚本にあヘあへしちゃうね…

 

寿三郎の造形

これがしんどい。

 

寿一が小さい頃の寿三郎の頑な厳しさとか、お風呂に関して寿限無への気持ちを寿一に喋っちゃうところとか、自分は浮気をばんばんしてたのに、舞の夫を許してあげたら、とか言っちゃうところとか。

 

とうとう能の謡を忘れてしまった時、寿一に「継がせないよ。一度逃げたやつはまた逃げる」って冷たく言うところとか。

 

ところどころにお茶目で年老いていく可哀想な老人をはさんできてるから、しょうがないなぁ、もう、っていう気にもなってしまうんだけど。

 

西田敏行がやってるお陰でその魅力を有り余るくらい見せてくるんだけど。

 

許してしまいがちな気分になってたところに、舞のセリフ↑で、ああそうだそうだよなぁって。この人が親だったらほんとキツイだろうなぁ。

 

それでもってあのラストですからね…

 

能の「隅田川」の稽古の時に、「そこは動かないで悲しみを表現する大事なとこ」と寿限無が言ってたセリフそのままの親子の言葉のない切ないシーン。

 

隅田川」の親子の悲しい物語を横軸にして、実際の隅田川、寿三郎寿一寿限無舞踊介親子の悲哀を詰め詰めに詰めてきた8話でした…

 

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これまでの感想です。

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あじさい