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「ときをためる暮らし」とは

つばた英子さん、しゅういちさんご夫婦の書いた本がたまたま家にあったのを見つけました。夫が購入していたようです。(2016年の記事を再編集しています。)

 

 

「ときをためる」とはどんなこと?

 

おふたりは、愛知県の高蔵寺というところに住み、畑を耕し、保存食を作り、家の修繕をし、できる限りのことは自分たちで行うという生活を続けてこられました。

 

その暮らしについて、ききがたりという形で2012年にまとめられたのがこの本です。

 

折にふれて、この本を手にし、ぱらぱらと読みます。いいなぁ、羨ましいなぁと思いつつ、こんなことできないわ~とも思いつつ、でもやはり心惹かれることが多く、自分がやりたくてうずうずしていると感じます。

 

今はとかく、手間をかけない、時短で、手早く、という事が重要だったりします。と同時に、スローライフとか田舎暮らしとか、その逆をいくような生活も注目されます。

 

このつばたさんのような暮らしをそのまま踏襲するのは都会で暮らしていると難しいし私には無理なのですが、それでも、「ときをためる」暮らしのエッセンスのようなものを得て暮らしていきたいなと思うのです。

 

「梅干しを漬ける」という項目に、このような文章があります。

 

一番いいのは、自然に熟して木から落ちた梅なの。だから毎朝拾って、少しずつ漬けていくようになるんだけど。そのつど梅の量を計り、塩分を計算して、先に漬けていたものに、どんどん加えていくんですよ。手がかかるといえば、かかるけど、暮らしって、細かいことの積み重ねだと思うから、こういう手間もイヤじゃないんですよ。P.141

 

家の庭に梅の木があるっていうだけで垂涎ものですよね。そんな暮らしはなかなか手に入らないです。でも、手に入らないからといって、あ~あ、と思ってるだけじゃ寂しいので、とにかく梅干しを漬けてみる。買うしかないので、買った梅を自分で漬けてみる。

 

今まで3回ほど漬けてみたんですが、2キロ、3キロと増やしていって、今年は10キロ漬けてみました。実は梅干しづくりってそれほど大変でも難しいものでもないことがわかりました。手間、ちょっとした忍耐、は必要ですが。

 

その漬けた梅干しや紫蘇が、毎日のごはんのお伴になっています。容器から取り出す度に、あの時に下ごしらえしたり、天日干ししたりしたあの手間。それを重ねたお陰で、こうやってさっと毎日梅干しを使うことができるんだなぁとしみじみ思います。

 

5月、6月に行う梅干し作りや実山椒のしょうゆ漬け作りは、街の真ん中に住んでいる私ができる数少ない、「ときをためる」暮らしなのかもしれないなぁ。

 

 

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夫の津端修一さんは2015年に亡くなり、妻の英子さんはそのままひとりで暮らしてらっしゃるようです。2017年には「人生フルーツ」というドキュメンタリー映画にもなっているのでご存じの方も多いかと。 ************ お越し下さりありがとうございました。

あじさい