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好きなものが同じ事違う事。「花束みたいな恋をした」「カルテット」を観て

結婚、夫婦のあり方のようなものについてあれこれ考えていたらいろいろな過去の事柄を思い出してきました。

詩集

カルテットで、マキさん(松たか子)の夫(宮藤官九郎)は自分の好きな詩集を彼女にプレゼントします。誰のどんな詩集なのかは明かされないのですが、彼はちゃんと読んでるのかな~としおりの場所を確認したりするんです。

 

でもぜんぜん読んでる風はなくて、そのうち、そこらへんにあったその詩集を、なんと鍋敷きにされちゃうんですよ。

 

私も、結婚する前に、夫から短歌集をもらって、そのうちのひとつの短歌にしるしがしてあったことがありました。

 

穂村弘のシンジケート。

 

へえって思って、ぱらぱらとめくったけれどそこまで読んでなくて。今でも家にあります。

 

映画

マキさんの夫は映画が大好きで、自分の超お気に入りの映画を借りてきて(なぜDVD持ってない?)一緒に観るんですが、途中でマキさん、いろいろ質問してきて集中できないし、そのうち寝ちゃうし、で夫さん、落胆しちゃうんです。

 

私の夫も中学の頃から映画館に通いつめてたらしく、すごおく映画が好きです。

 

学生の頃に、何回か一緒に映画観に行ったことあるんですが、植木等ハナ肇が出てた「会社物語」っていうの、とてもよく覚えてるんです。

 

いい意味で覚えているのではなく、私、この映画とっても退屈しちゃったんですよ… 途中で何回も時計見ちゃったし、寝ちゃいそうになったし… そうしたら、夫はとても感動したらしくて、後から文句言われました。

 

趣味の違い

どう考えても、趣味が違うんですよね。

 

でも、共通の好きなものはあったんですよ。同級生なので育った時代背景は同じだから、土曜日に見てたのは「8時だよ全員集合」だったし、学生時代に流行った「ノルウェイの森」は読んだし。

 

でも好みの違いは果てしなく大きい。映画、マンガ、音楽、本。

 

私は好きなドラマの話はしないし、夫も好きな映画の話はしない。でも重なっている部分はある。それが若い時の村上春樹だったり、ドラクエだったり、今は夏目漱石だったり、ジブリだったり、お酒だったり。

 

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算数でこんな図があるでしょう。全部が重なるなんてこと誰とだって無理。でもこんな風に少しでも重なる部分があればそれでいいんじゃないかな。

 

本やマンガなんかじゃなくたって、面白いと思う観点が同じとか、楽しいと思えることが同じとか、まあ安直に言えば価値観みたいなことなんでしょうけれど。

 

それでもすれ違う

まあ、それでもすれ違うんですけど。でもそれはどうしようもないんじゃないかと。そういうものだ、と一旦どこかで諦めを握りしめつつ、それでもなんとかやっていこう、とか、二人を越えていこうとか、夫婦を越えていこう、とか思えればやっていけるんじゃないか。

 

ただ、すれ違いが加速していって、どうしようもなくなっていくそのどうしようもなさ、があるのかもしれないってことを「カルテット」を観てると感じます。

 

最高の離婚」であまりにも性格の違う光生と結夏がそれでもふたりでやっていこうとしたけれど。

 

「逃げ恥」で、自尊感情の低い男と「小賢しい」女が、雇用関係から恋愛、結婚、そして人生の同志へと移り変わっていったけれど。

 

「花束」のふたり

それに比べて、「花束みたいな恋をした」の麦(菅田将暉)と絹(有村架純)は好みが合いすぎ。自分の本棚とほぼ同じ本棚を持つ人に出逢ったっていうのがもう、そこが問題なのかも、とも思うんですよね。

 

坂元氏は、明らかに意図して「カルテット」のマキさん夫婦と正反対なカップル像をここにもってきてると思います。

 

好みが同じ過ぎて、出会った頃は盛り上がって、その話ができることが嬉しくてしょうがなくて、っていう2人のこれでもかっていうしあわせぶりを前半見せつけておいて、後半その「同じ」好みだからこその2人のねじれ具合のどうしようもなさがあぶりだされるのを計算してる坂元氏は、好みが同じだろうが(花束)違っていようが(カルテット)、結局「実らない」結末を引き出してるんだなぁ…と。

 

麦と絹は、好みが同じ過ぎることで、全てにおいて相手が自分と同じ考えをするはず、して欲しいと思ってしまったんだと思うんですよ。でも一緒に居ても相手は自分じゃないから同じ様に考えるはずがないじゃないですか。

 

それなのに、好みが同じなばっかりに、そこの線引きができなくて、結局一緒に居ることが辛くなってしまっていた…

 

マキさんの夫さんみたく自分の好きな詩集をたとえ好きな人でも同じように好きになってほしいと思っても結局自分が傷つくだけだし、なんでしょうね、一緒に居る人には過度な期待はせず、お互いに好きなものは好きなものとして大事にしつつ、共有できるところを大事にしていくしかないのかな。

 

誰かと一緒に居ると淋しくないけど、面倒くささも込み込みなんで…

 

 

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お越し頂きありがとうございました。

あじさい