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今週の直虎と政次 ~20回 おんな城主直虎~

引き続き20回のことをつらつらと…

 今週の政虎

今までは、政次があまりに不憫でしょうがなくて、役者さんも含めて台詞だけじゃなくその動き(視線とか首の角度とか瞬きとか眉とか手とか全部)から目が離せなくてウォッチャーを自認していたのですが、彼と直虎の関係がどんどん変化していくうちに表情も柔らかくなっていって、見ててなんだかほっとするというか和むというか、こころ落ち着くというか。

 

その分直虎に気持ちを向けたのがこの20回。

 

わずか10歳で出家、婚約した亀之丞はその身を追われ、親とも離れ、その身をまさにお家のために捧げてきた直虎が、唯一心のなかに大事にしていたのは亀之丞との美しい思い出で、亀の遺志を継ぎ、彼の子虎松を次の領主として引き継ぐためだけに生きていると言っても過言じゃない。

 

こころの拠り所であった亀との思い出。愛したひとの現身として井伊を守っていくと覚悟を決めた彼女だったのに、その思い出が、隠し子の登場で悲しくも壊れてしまい…

 

って書いてるとすごく悲劇みたいなんですが、ドラマでは、しの殿と亀(直親)の悪口を言い合って笑って泣いて、今更ながら悲劇と喜劇って表裏一体なんだなって見てる方も泣き笑い状態でした。

 

昨日も書きましたが、この隠し子の登場で、「のうなったのは我の美しい思い出じゃ!!」と直虎が言っていたように、もう直親の代わりという立ち位置を自ら放棄しなくてはいけなくなりました。

 

これからは、誰かの為というような、ある意味甘えのような立場ではなく、自分自身が領主として立ち、今までより以上に責任も重圧も感じざるを得ない状況になってしまったと言えるかもしれません。

 

これは直虎の変化、成長という意味での通過儀礼なんでしょう。誰かのため、誰かの思いを大事に、ではなく、自らがそうしたい、そうありたいと願うからこそ、領主としての力も智慧も一層光っていく。そんな直虎が見れると思うとわくわくします。

 

 

さて、今週のハイライトは、何と言っても隠し子の高瀬の鼻歌の場面です。

 

ちょうど直虎が執務中の政次のところへ相談しに来ていた時、拭き掃除をしながら歌う歌が、聞こえてきました。

 

直虎が気づき、政次も「え…!!!」という顔をし、お互いの顔を見合わせた後、高瀬がいる場所へ走っていくふたり。

 

その鼻歌が直親が子供の頃に吹いていた笛の音そのもので、3人の幼少時の回想が挟まれました。

 

本当に直親の実子であるのかその確証が得られずにいた直虎に突きつけた、直親の笛の音。 間者ということにして追い出すということもできる、と言っていた政次も反論ができないくらい、その笛の音を真似た鼻歌で浮かび上がってきたのは直親の幻影でした。まさに啓示…

 

目の前にいる隠し子高瀬を前に、右目に涙が光る直虎。

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今まで見た彼女の表情の中でいちばん悲しくて美しくて打たれました。台詞やナレーションではなく、ずっと前から私達が知っている亀の笛の音。それをこの場で亀不在の中聞くという不思議と与える衝撃と、同時に実子であるかどうかの明確な答えになっているという構造。

 

そしてこの笛の音を幼い頃より一緒に聞いてときを過ごしてきた政次の直虎を見る顔がどうにもこうにも… ふう。そして唯一この思いをわかってくれる政次に向ける精一杯の直虎の笑顔にフォーリン。

 

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直虎可愛いすぎる… せつなすぎる…

 

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自分の思いをずっと隠してきたけれど見ている視聴者にはダダ漏れな政次が尊い

 

こういうのを見てると、ああ、ドラマ見ててよかった~~~~~って叫び出しそうになります。僥倖僥倖とひとりごちます。

 

尼になった時点で、おなごであることも、娘であることも捨て、ひたすら竜宮小僧であろうと、性を越えた存在で、おなごでありながら、産むことを許されず、誰かと添い遂げることも叶わず、それでも、おなごだからこうだ、と決めつけられたりもするのに文句を言わず、ただただ自分という存在を家に捧げ続けてきた直虎のいちばん大事な心の頼りとしてきた直親の思い出すら木っ端みじんになってしまった事が悲しくて悲しくて泣けました…

 

そしてそれをわかってあげられるのに、表立っては対立している政次は手を貸してやることも肩を支えてあげることもできず、ただ側に近寄って、(直虎が呆然として している時にうっすらと後ろに映っていた政次が2歩近づいたのがわかります)後ろから見守っていて。

 

ちょうどタイトル下に使った写真、ふたりの表情は見えないんだけれど何をどう感じているかを能弁に語るアングルが秀逸過ぎました。

 

はぁ、ふたりのことを語り始めるとなかなか終わりませんね。ひとりでここでああだこうだと書いていますが、Twitterで同じような思いをされている方とやりとりすることで共有できることがたくさんあって楽しいです。

 

それではまだまだ書きたいことは尽きませんが今日はここらへんで。

 

20回の感想はこちら。

https://yutaka-sukkiri.com/2017/05/24/nao-20/

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お越し頂きありがとうございました。

あじさい