父?母?性別を越えた直虎 ~17回 おんな城主直虎~
なんと今日は何かと話題の18回!!とその前に17回の感想を。
あらすじ
中野直之(矢本悠馬)は「種子島」を取り寄せ、直虎(柴咲コウ)の前で実演してみせる。その威力に驚いた直虎はこの「種子島」を鍛冶の村・井平(いだいら)で生産しようと考える。その頃、龍潭寺で手習いを始めていた虎松(寺田心)は家臣の息子たちと五目並べに興じていた。周りの子供たちが気を遣って手加減しているのを知った直虎は激怒する。周りが手加減をしなくなり、負け続けの虎松はショックで寺に来なくなってしまう。そのことに往生した直虎は、再会したなぞの男(柳楽優弥)から「一度、勝たせてやれば勝つ楽しさを覚える」というアイデアをもらう。虎松を鍛える直虎、そして再びなつ(山口紗弥加)の息子・亥之助(荒井雄斗)と五目並べで相まみえる日を迎える。勝負をあきらめない虎松の姿を見たしの(貫地谷しほり)は、直親(三浦春馬)の後を継げるよう鍛えて欲しいと昊天(小松和重)に頭を下げる。その矢先、直虎のもとに「種子島」が盗まれたとの報らせが入る。盗んだのは政次(高橋一生)だった。 第17回「消された種子島」|あらすじ|NHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』
今回は、井伊を立て直すために経済の次に考えなくてはいけない、戦への準備、そして大事な跡継ぎをどう育てていくかの帝王学。
今週の雑感
虎松の後見を今川から認められた直虎。しかしながら実際後見として、実の母、しのから認められるのはまた別のこと。(政次からはまたまた別の意味で認められていないけれど…)
しのにとっては、直親と結婚してからずっと、更には死んでしまってからも、でかくて目障りな存在の直虎。幼馴染という絆の深さとお互いが好き合っているのに添い遂げられなかった内情までよくわかっているしのにとって、井伊の殿である前に憎き恋敵なんですよね…
直親が死んでしまい、その直親の思いを継ぎ忘れ形見の虎松を立派な領主に育てようと、肩に力の入っている直虎を見れば見るほど、しのは嫌気がさしてしまうんだろうなぁ。子供を取られてしまうという危惧もあるだろうし。
自分が産んだ子供を弱いだのそのままでは良い領主になれぬなどダメ出しばかりされたら「もう跡継ぎにしていただかなくても結構」と逆ギレしちゃうのもわかる…
しのは嫌われキャラなんだけれど、直虎と直親の関係には逆立ちしても敵わない自分にとって、虎松は自身を守る唯一の盾のように見える。母であるというアイデンティティを誰にも渡すまいとする意地が彼女を生かす原動力にもなっている。
しかし、直虎がしのの母としての地位を脅かす存在であるという考え方は杞憂なんだと思うんですよ。
虎松が、自分も父親のように強くなりたいとしのに訴えた後、あやめ(光浦靖子)がしのにかけた言葉。
「直虎様は母上にはなられませぬよ。なられるとしたら、父上でしょう。なんだか父親のようではござりませぬか。」
これを聞いてやっとしのも表情が緩んで、頑なだった心を少しだけ開いたかのよう。
直親の代わり。それが父親役なんだろうとは思うのですが、私が直虎に感じるのは母性でも父性でもないんですよね。そのどちらでもない。
直虎は、幼い頃から皆の、そして直親の竜宮小僧になろうと務めてきました。仏門に入ってからは更に性を越えた存在になっているように思います。もともとおなごであることを殊更に嘆くこともなく、直之からは「それだからおなごは…」と文句を言われた時にも、「おなごで結構、おなごじゃからな。」と返す。
直虎の元からの性格もあるだろうし、柴咲コウの持つ中性の雰囲気もあるし、女性であることから離れて見える直虎の魅力が増してしょうがなかったこの回。(政次もそんなところも好きなのかなぁと思ったり)
しのとの確執だってまだ解決したわけじゃない。虎松の手習いを再度依頼し昊天に頭を下げても直虎には未だ頑なな態度しか見せないしのを、直虎がさばさばした表情で見つめる。名を捨てて実を取った彼女の賢さと器の大きさ、少しだけ距離を縮めた2人の関係もこれからの見どころのひとつですよね。女の友情といったありがちなものにはきっとならずに新しい関係を見せてくれるものと信じています。
今週の政次
ああ、あと何週こう書けるのか…
今週は久しぶり?に見る優しい笑顔と、覚悟を決めた者の美しい横顔とを見ることができました。
甥の亥之助が、叔父上と慕う様子がとても微笑ましく、その時だけ見せる政次のきっと真の顔とも言うべき表情の柔らかさが印象的でした。
自分の子供があったならばどれだけ可愛がるんだろうなぁと、想像するだけで泣けてきます…
先週の六左衛門とのやり取りから、どうしてもコミカルパートにしか見えないところ。顔で恫喝してみるも、先手を打って直虎が六佐には種子島のことは内緒にしているもんだから、確証が得られぬ政次。
でも。
子供の頃から知っている仲だもの。直虎の顔色、視線だけで、もう嘘がバレバレっていうのがね… そして直虎自身、バレてるってことがイマイチわかってないのがね… 政虎好きにはたまらないシーンでした…
そしてラスト。脇の甘い直虎のことなんて全てお見通しでした、の政次。彼の「後見を降りられよ」は、夏目漱石が昔、 I love you. を「月がきれいですね」と訳したそんな、遠回しの愛の告白でしょうっていうのがTwitterにあってガッテンしました。
覚悟を決めたひとの持つ神々しさ。政次は折りに触れ、覚悟があるのか、と直虎に問うてきました。「覚悟がないのなら寺で経でも読んでおれ」という私の好きな台詞もあります。
でもね、直虎の覚悟が本物になったらなったで、政次の心配が天高くマックスになってしまうので、それはそれで困る…といった、政次を見てるといつも感じる二律背反な彼女に対する思いを感じたりもします。
とにかく、自ら盾となって死をも辞さない政次の、この顔の美しさは尋常じゃないです…
政次っていつもは仮面かぶってるし、昔から言いたいこと言えずにいるのだけれど、「では還俗して俺と一緒になるか」とか、今回の、(後見を下りるのが)「井伊の為、そして、御身の為だ」のように、本音がたま~に入ってきちゃうのがまたまたツボなんですよ…笑
さて。
18回。できるだけ情報を入れないようにしているんですが、こないだ大河ドラマ館に行ってきたとき、大きな画面で予告編を流していたんです。それが本編の最後にあるものとはちょっと違っていて、直虎が政次の着物の袂を掴んだ後の政次の表情が一瞬わかるものだったんです。(本編の最後のは横からだけなので表情は見れません)
それでは、新しい直虎と政次の関係、次へのステップを期待しながら夜を待つことにします。
家来たちに愛される主人公 ~16回 おんな城主直虎~
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お越し下さりありがとうございました。
あじさい