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『Butter』の歌詞について前のめりで考えてみた

『Butter』が発表されてから1週間のうちに数々のライブパフォーマンス、コレオ、Hotter Ver.と、畳みかけてきてますね。聴いてるだけでノレて気分上がるので歌詞が二の次になってたんですが、ここでしっかりと日本語に落とし込んでおこうと、ラジオで解説聴いたりブログ記事読んだりして、自分なりに気づいたこと感じたことを、歌詞の翻訳と共に書いておきます。長いです。

https://genius.com/Genius-japanese-translations-bts-butter-lyrics

こちらはGeniusの和訳歌詞。

Smooth criminal

Smooth like butter Like a criminal undercover Gon' pop like trouble Breakin' into your heart like that (Ooh バターのようにスムースに 正体を明かさない悪党みたいに トラブルが起きたかのように弾けて 君の心に忍び込んでいくよ

Smooth とcriminal という単語。マイケルジャクソンの「Smooth Criminal」がこのベースにあるのでしょうね。

BTSは、下のパフォーマンスでもマイケルオマージュのダンスブレイクを見せているし、Dynamiteの振り付けでもマイケルを思い起こさせます。

”Breakin' into” は、公式では「君の心の中にこっそり入っていくよ」となっているのだけど、忍び込む、の方がよりイメージに近いんじゃないかなって思いました。彼らは”正体を明かさない悪党ですから”、いつのまにか”君が知らないうちに忍び込んじゃうよ”って感じで。

Cool shade stunner

Cool shade stunner Yeah, I owe it all to my mother Hot like summer Yeah, I'm makin' you sweat like that Break it down サングラス姿の超キマッてる僕 そう、全部母さんのおかげ 夏のように暑く そんな風に君が汗をかくのは僕のせい 教えてあげるよ

"Cool shade stunner"に関して、このサイトによると、

https://genius.com/23083937

「E-40」というグループが歌った “Tell Me When to Go” に、下のような歌詞があって、そこから来てるよう。

Put your stunna shades on

もともと、shadesというのはサングラスのスラング。stunは「驚かす」、erが付くと、run 「走る」がrunner「走る人」になるように、「気絶させる人、すばらしい人」。「超キマッてる僕」と訳してみました。

”I owe it all to my mother” いきなり「僕のお母さん」が出てきて、え???ってなったんですよね。なんでだろうって。きっと、ここには「母国」の意味も込められてるんでしょう。母国は、mother countryとも言いますし。

"Break it down" も訳すのが難しい。辞書にかけると「それを分解する」となってます。公式は「見せてあげよう」。

また、先ほどのリンク先に書いてあったんですが、ブルーノマーズとマークロンソンのビッグヒット、「Uptown Funk」でもこのBreak it down「さぁ行こう」とか「見てなよ」などの和訳がされてます。ダンス楽曲では頻繁に使われてるフレーズみたい。

I'll melt your heart into two

Oh, when I look in the mirror I'll melt your heart into two I got that superstar glow so (Ooh) Do the boogie like 僕が鏡を覗くだけで 君のハートを2つに溶かしちゃう 僕にはスーパースターの輝きがあるからさ こんな感じでブギしてみて

ハートを2つに溶かす」ってどういう事だろう???2つに…?ここに関しては、たぶん言葉遊びなんだろうと思います。

デヴィッドボウイの超有名な楽曲に"Let's Dance"が或るんですが、その中に、こんな歌詞が。

Because my love for you
Would break my heart in two
何故なら君への愛は
僕の心を 真っ二つに壊すだろうから

これならわかります。「心を2つに壊す」このような表現を正反対な意味としてわざと使ったのかな。

"Do the boogie like" これも難しいです~。boogieとは??昔、ブギウギってありましたよね?

ブギboogie)とはスウィングまたはシャッフルのリズムによる反復フレーズでありブルーススウィング・ジャズロックンロールなどの音楽で用いられる。

マイケルジャクソンの"Rock with you"という楽曲の中に、こんな歌詞がありました。

You got to feel the heat And we can ride the boogie Share that beat of love この熱を 感じてよ そしたらこのブギに二人で乗れる 愛の鼓動を 分かち合おう

「ブギ」なかなか理解しづらい概念ですが、反復フレーズってことは、次に出てくる下の部分が何回も曲内で反復されているバースなので、こうやって「ブギ」しよう!ってことなんですよねきっと。

talk is cheap

Side step, right, left to my beat High like the moon, rock with me, baby Know that I got that heat Let me show you 'cause talk is cheap Side step, right, left to my beat Get it, let it roll 僕のビートに合わせて右左へステップ 月くらいの高さにまで上って僕とロックしよう 僕の熱さは知ってるよね 言葉なんて陳腐だから見せてあげるよ 僕のビートに合わせて右左へステップ 覚えたらやってみよう

この歌に何回も出てくる

Side step, right, left to my beat High like the moon, rock with me, baby

こんな感じで一緒にブギしよう!って言ってるんだなと。

さて"rock with me” なんだけれど、マイケルの”Rock with you”のタイトルを見て、あれ、これもマイケル関係してるのかなって思ったり。まぁこの単語はそもそも歌詞には頻出だろうからそれほど関係ないのか?

でも、beatheat両単語で韻を踏んでるのも同じだ…

そしてrockに関して調べていくと。

ロックンロールRock and RollRock ’n’ Roll)は、1950年代半ばに現れたアメリカの大衆音楽スタイルの呼称である。語源については、古くからアメリカ英語の黒人スラングで「性交」及び「交合」の意味もあり[1][2][3]、1950年代はじめには「バカ騒ぎ」や「ダンス」という意味もあった[4]https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%B3%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%AB

マイケルジャクソンの"Rock with you"の、

I wanna rock with youという部分に「君と愛し合いたい」「君を抱きたい」という和訳をあててる記事を見たりもしました。

rock with me baby について公式は「僕と一緒に楽しもう」という和訳をつけてます。さてさて、私としてはロックする、という訳にしてみたんです、それ以外になくて。ここは各人好きなように意味を取ればいいんじゃないかなって思います。

ただ、リーダーのRMが、Butter発表前のインタビューで踊りの振り付けに関して、sexy vibesという言葉を使ってたのを思い出して…

RM : I don't know. Maybe some sexy vibes on it.. and It's really cool. Q: Sexy vibes??? RM : Yeah.. in our thoughts.. maybe yeah.. not not not not in your standard but maybe in our standards yeah.. RM:わからないんですが、たぶん、いくぶんセクシーな雰囲気かと。そしてとってもカッコいいです。 Q:セクシーな雰囲気??? RM:ええ… 我々の考えでは。たぶん、はい。もしかしたらあなたたちの基準ではそうじゃないかもしれないですが、我々の基準では。はい。

踊りの振り付けに関しての話だけれどもね。歌ってる内容もかなりsexyじゃないか!!!!聞いてないぞって個人的に思ってます。

"talk is cheap" に関してはもともとの意味として、「言葉ではなんとでもいえる」「言うだけならタダ」とか、「言葉」や「話す事」がいかにいい加減なものかっていうことを表してると思うんですが、マドンナの"Sorry”をここで思い出しました。

Don't explain yourself 'cause talk is cheap There's more important things than hearing you speak 説明なんてしないで 言葉は安っぽいから あなたが話してるのを聞くよりも大事なことがある

Butterでは「言葉は陳腐」と私は訳してみました。「言葉なんて薄っぺらいから」って訳されてる方もいて、ほぉぉぉぉ!!って思いました。

no Usher

Smooth like butter Pull you in like no other Don't need no Usher To remind me you got it bad バターのようにスムースに 誰よりも君を惹きつける Usherは必要ない 君がメロメロになってるって教えてもらわなくてもわかってる

"Usher"というのは、

アッシャーUsher1978年10月14日 - )は、アメリカ歌手ソングライターダンサー俳優。 現在最も人気、実績のあるR&B男性アーティストの1人。2ndアルバムでブレイクし、その後に送り出したアルバムも大ヒットを続けている。

以前、インタビューで、ジミンがUsherのファンであることを話してます。小文字で始まるusherを使っているのであれば、「案内する」という意味になるんですが、大文字で始まるっていうことは、固有名詞であり、ミュージシャンのUsherだと考えられます。

Usherの楽曲で、

"U Got it Bad"

"U Remind Me"

があります。この歌2つを組み合わせて

”To remind me you got it bad"

と作詞してるっていうすっごい高度な技でUsherへのラブコールを表してる部分じゃないかなと。

"you got it bad"というのは、「あなたは(○○に)惚れている」「あなたは(○○)に夢中だ」と云うような意味。

sweep you up like a robber

Ain't no other That can sweep you up like a robber Straight up, I got ya Makin' you fall like that Break it down 他の誰もできない 泥棒のように君をさらうなんてこと そうだよ、君は僕のモノ そうやって君を夢中にさせるんだ 教えてあげるよ

"sweep up"は、「掃き掃除をする」「抱き上げる」という意味があります。「君をさらっていく」、というようなイメージかなと。

iceとnice

No ice on my wrist, I'm the nice guy Got the right body and the right mind Rollin' up to party, got the right vibe Smooth like (Butter), hate us (Love us) Fresh boy pull up and we lay low All the players get movin' when the bass low Got ARMY right behind us when we say so Let's go 僕の腕にアイス(宝石)なんてナいけど、僕はナイスガイだよ 健康な身体と健全な精神を持ってる パーティにも完璧な雰囲気でもって参加するさ バターのようにスムースにね 僕たちをキライでも好きでも 新参者が現れたら僕たちはじっとしてる ベースが低く響いたら全員が動き出すよ 僕たちのすぐ後ろにARMYがいる、だから言うよ 「さぁ行こう!」

SUGAパートのiceの説明については、この方がすごいわかりやすいので抜粋します。

ここから解説_________________ iceには「ダイヤモンド」とか「宝石が散りばめられたアクセサリー」って意味もあって、歌詞中ではiceとN-ice(No-iceの省略形)をかけてるんよ。 つまり「ダイヤモンドなんかに頼らなくても(No ice)、僕の価値は変わらない(N-ice)」ってことですね、おっしゃれ!!!!!!!!わお!!言ってみたい!!!!言います!!N-ice Guy!!!はい満足!!!!

この動画に付けられた和訳が素晴らしいので是非観てください~!

SUGAが、hate us って言ってるのは聞こえるけど love us が聞こえてこないのがまたそこら辺仕掛けがあっていいですねぇ。

Fresh boy っていうのがイマイチ掴めないでおります… 新参者って訳したけれど、自分たちより後に出てきた後輩の事を言うのかな…?よくわからず…

"Got ARMY right behind us"

この歌詞には泣けますね… 全員でARMYの人文字を作っているのも。真ん中にRとMが入っているから、真ん中にRM(リーダー)を配置してるのかな… いずれにしてもBTSからのラブレターみたいなもん。ですよこれは。

we don't stop

Smooth like (Butter), cool shade (Stunner) And you know we don't stop Hot like (Summer), ain't no (Bummer) You be like, oh my God We gon' make you rock and you say (Yeah) We gon' make you bounce and you say (Yeah) Hotter? Sweeter! Cooler? Butter! スムースに(バターのように) カッコいいサングラス(超キマッてる僕) 僕たちが止まらないって知ってるよね 暑く(夏のように) させない(ガッカリなんて) 君は「オーマイガッ」って叫ぶだろう 僕たちが君を踊らせたら君は言うんだ(Yeah) 僕たちが君を躍らせたら君は言うんだ(Yeah) もっとアツく?もっと甘く!もっと冷たく(かっこよく)?バターのように!

bummerというのは、

嫌な[がっかりする]こと[出来事・体験]、不愉快なこと[出来事・体験・状態・時間]、残念なこと、失望、失敗(作)、駄作

という意味。

 

さて、J-HOPEのパート、And you know we don't stop に関しては、Weverse magazineで言及があります。

https://magazine.weverse.io/article/view?ref=main&lang=en&num=162

The Sugarhill GangのRapper's Delightへのオマージュだと

https://www.youtube.com/watch?v=mcCK99wHrk0

Let’s rock.  you don't stop

という歌詞がそうですかね。

それに加えて、この歌については、ラジオでこういう言及もされてました。

宇多丸)大ネタというかね。スーパー大ネタ。ヒップホップ、ラップの最初のヒット曲である『Rapper’s Delight』もシック『Good Times』を当時は無断で流用したりしているので。非常に有名なベースラインなんです。 https://miyearnzzlabo.com/archives/74328

Butterのベースラインの話から、こんな話が。

 

おっと。書き始めたらこんなに長くなってしまいました。

様々な楽曲と音楽の歴史を織り込み、遊びとファンへの愛の詰まったButter、いろいろ調べてるだけでとても楽しかったです。内容を知ってからまたパフォーマンスを観たらより楽しめること請け合い!

それでは。

https://yutaka-sukkiri.com/2021/05/24/butter-inside/

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お越し頂きありがとうございました。

あじさい