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「大豆田とわ子と三人の元夫」1話<全てを振り切るドラマ降誕>

坂元氏が前回ドラマ脚本を書いたのが2018年。「anone」でした。長いこと坂元氏の連続ドラマを待ってました。

https://www.ktv.jp/mameo/story/1.html

振り切っているドラマだった

このドラマ。

 

なんかもう作りたいものを作るぞ、な姿勢がハンパなく貫き通されてますね。

 

クドカンもわりと言われがちだけど、坂元氏脚本も「わかるやつだけわかればいい」。

 

だからよく言われてるけれど、「見る人を選ぶ」作品と呼ばれちゃうんかなぁと。

 

世の中、「わかりやすい」作品が好まれたり視聴率が高かったりするのであるならば、私は自分の好きだと思える作品をひたすら愛でていたい。

 

そういう意味では、このドラマは私のこれまでの「好きで愛おしくていつまでも心の中で大事にしたいドラマファイル」にすぽんと入りました。

 

松たか子という才能おばけ

おばけと書きましたがもちろん最大級の愛をこめてます。

 

私の初松たか子はなんていったって私が20代の時に大ヒットした「ロングバケーション」の涼子役。その鮮烈さを今でもアリアリと思い出せます。

 

翌年の木村拓哉との共演「ラブジェネレーション」のリコ役も魅力的で釘付けだった。その後私は子供を2人続けて産んだのでドラマから遠ざかってしまい、その間に放映された「HERO」を観れていないのが痛恨ですが…

 

結婚出産後に出演した「カルテット」で40代にさしかかっていた彼女の素晴らしい歳の取り方に唸りましたし、もちろんアナ雪での主題歌の、透き通る声の伸びやかさは何時聴いても気持ちがスッキリします。

 

カルテット」のエンドロール時のMVのような映像も素晴らしかった、歌も素晴らしかった。そして今回のドラマでもエンドロールの映像と歌にうっとりしちゃいました。

 

とにかく、ドラマ内の「とわ子」の魅力が全方向なんですよ。「松たか子」を堪能するドラマなんだと思いました。堪能するように作られてるドラマなんだと。

 

ヤバイ松田龍平

Twitterでもこれはヤバイ松田龍平だ、との声が大きい。

 

でも、ヤバくない松田龍平っているのかしらっていうくらい彼ってそこに立ってるだけでヤバくないですか?

 

どこから松田龍平でどこから役なのか、その輪郭がすごおく曖昧で、空気が独特で、性的なものを見せないようでいてとても色っぽい。

 

「カルテット」での松たか子松田龍平ペアのお話を引きずってしまいがちなので、元夫婦設定と聞いたときには「え?」と一瞬時間が止まりましたよね。

 

名前の暴力性

苗字を3回変えた大豆田とわ子。これ、大豆田とわ子なら一回くらい改姓せず夫にかえてもらう選択もありじゃないか?っていうのも考えなくもないけれど、「カルテット」で、松たか子演じる「真紀さん」というのは戸籍を売買した過去を持つ人という設定だったなぁと思い出したんですよね。

 

名前ってある意味、親からの祝いであると同時に、苗字も名前も自分で選べないし、一方的に押し付けられたものとしての暴力性のようなものを感じたりもするんです。

 

例えば、キラキラネームを付けられてしまって、変えるには裁判を起こさないといけなかったり、私の小学校時代にはその苗字でいじめられたりしている子がいたの思い出されます。

 

カルテットの真紀さんは親の起こしたことによってその名前を捨てた人でした。

 

だから、「大豆田」というあまり聞き慣れない名前を付けたり、3回名前を変えたという主人公という設定は、そこに結婚の制度も含めて、坂元氏の考える生き方に絡めてさまざま見せてくれるんじゃないかと期待してるんです。

 

「ひとりで生きられるけど、ひとりで生きたいわけじゃない」

網戸のエピソード、あまりにあるある過ぎて笑いを通り越してしみじみしてしまったんだけれど、(今、うちには網が破れた網戸が複数あって、暑くなるまでには張替しないといけないがとても億劫だったり、どうしてもきちんとはまらない網戸がある)

 

それを誰かになんとかしてほしいかどうかと聞かれれば、私はあまりそうは思わないんだけど、そういうちょっとした日常のあれこれに絡めて、どう生きていきたいかの糸口にするっていうその手法が坂元氏過ぎる。

 

「カルテット」での4人の共同生活が、私の中での究極な理想そのものだったのでこれ以上のものがあるとは思えなくて、とわ子が誰かとよりを戻すとか、誰と誰がくっつくとかそういうことにはほんとに興味はなく、とわ子の飢餓感みたいなもの、ペテン師にひっかかりそうなとわ子を見ると、何かしらに飢えていて、そのスペースを誰がというか、何をもってくれば満たされるのか、ほんと楽しみでしょうないです。

 

「カルテット」どうしても思い出されてしまってます。

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あじさい