『さよならくちびる』ハルレオの居る素晴らしい世界<ネタバレあり>
ずっと観に行きたかった映画を観てきました。
佐伯龍を求めて
3年前なのですが、「ふれなばおちん」というドラマの最終回を観て書いた記事がありました。成田凌が出演していて、私はこのドラマの最後に打ちのめされそれ以来、成田凌に佐伯龍を求めてきてました。
http://yutaka-sukkiri.com/2016/08/17/furenaba-saeki-ryu/
この後の「逃げ恥」「ひとは見た目が100%」「わろてんか」「コードブルー」「スマホを落としただけなのに」「愛がなんだ」の成田凌も佐伯龍ではなかった。 彼の風貌に龍を見出したのが、数ヶ月前にこの映画の情報がネットに初出された時。龍みたいに長髪ではないけどヒゲあり。龍が生きているように思えてしょうがなかった。 そして昨日。ちょっと緊張したけれど答え合わせをしに行く恐さと高揚感とを持って観てきた。
ハルレオ
観始めてちょっと経った後、佐伯龍の事がどこかへ飛んでしまった。ハルレオにのめり込んでしまった。私はハルレオが実在する世界に入り込んでしまってそこに加わるシマ(成田凌)はシマだった。 ハル演じる門脇麦、レオ演じる小松菜奈、ふたりとも若手俳優の中で存在感カリスマ性とも突出した方達だと思わずにはいられなかった。 とにかく良かった。ハルレオはS極とN極のように相反してお互い離れようとしているのにも関わらず、その実お互いを欲して心の中でお互いを呼んで叫んでいるように見えて涙が出た。
大きな事件が起きない
こないだ観に行った「愛がなんだ」もそうなんだけれど、この映画の中でも事件は起きない。日常の中でタバコを吸うビールを飲む裏道を歩くカレーを作る食べるケンカする歌う。 ふたりの、3人の、日常、車での移動、淡々と、ひたすら淡々と。過去へのフラッシュバックで少しずつハルレオの関係性を滲ませながらハルレオシマのキャラクターの肉付けをしていく。 ハルのライブハウスでの歌と歌の間に挟まれるMCもとても好きだ。ハルがどういう人間なのかわかる。何をどう考えているのかわかる。レオへの気持ちがわかる。 言葉と、言外で内面を表すことができる俳優を選んだのは理由があるのだろうと思わせる。
歌がすごい
秦基博とあいみょんが提供した曲が各地のライブハウスで歌われるのだけれど、何回も重なっていくうちに3曲ともキャッチーでハルレオが実在するみたいに耳に馴染んでラストへ向かう。 秦基博はデビュー時期にずっと聴いていてとても好き。「鱗」「夜が明ける」 あいみょんはいまをときめくシンガーで、ランキングに何曲も入っていて尖った歌詞を書かせたら一番な人。私が好きなのは「愛を伝えたいだとか」。 映画のために書き下ろした3曲がこの映画を支えている。歌詞にも曲にもハルレオでいっぱいだ。このハルレオの居る世界で私は途中ある場面からずっと泣いていた。
最後に
これは恋愛映画じゃない。成長する映画でもない。起承転結があるわけでもない。 ひとがひとを想う、愛する、歌う、苦しさと切なさと愛おしさをストレートに浴びる映画だ。 ハルレオが居るその世界は暖かく眩しい。 *************** お越しいただきありがとうございました。
あじさい