直虎のことを考えて過ごす1月最後の日
今日、1月31日をもって、去年の大河ドラマ「おんな城主直虎」の公式HP、Instagramが削除されます。
今月14日には、浜松にある大河ドラマ館も閉館され、しょうがないこととは言え、去年毎週心待ちにし、内容の鬼加減に打ちひしがれながらもTwitterで知り合った方々とああだこうだと気持ちを語り合ったりした時間を思うと、とてもとても寂しくてなりません。
始まる前に、宣伝の女子会トークとかいうなんか浮ついた言葉を横目に幼馴染のヒロインの取り合いかぁ… とそれほど期待もせずにいました。前年の真田丸がとても面白くて、主人公はもちろん、今までそれほど注目していなかった俳優の活躍を見たり、長澤まさみのさばさばした役がとても魅力的でほんと楽しかったからっていうのもありました。
それがそれが。
私が、え、これ…なんか不穏だしやばいよ…って思い始めたのが検地回。さわやかな笑顔に隠された闇を見せる直親によって、見るのが楽しいというよりも胃がキリキリする感じの今までドラマで感じたことのない雰囲気にひきこまれていきました。
そして、直虎と政次の関係性。
子供時代を4話かけて描いて基礎をどっしりと作り、親の世代からの呪詛と家と土地、そこから生まれた幼馴染3人の意識と思いをしっかり刻む。
特に私が子供時代の忘れられない台詞が直虎、政次ともにあるのですが、その台詞が表す子どものころからのふたりの関係がおとなになってからも色濃く反映していて、反目し合うようになってからの切なさがいや増しました。
はっきりとは憶えてはいないのですが、亀の父親の謀反を、鶴の父が今川に密告し処刑されてしまった後、申し訳なさそうに父を恥じている鶴に向かって、おとわが父は父、鶴は鶴だ、という事を言って鶴を慰めていた場面。
この時、鶴は生涯おとわの為に生きようと決めたのではないかなと思いました。
そして、今川に追われた亀が井伊を逃れて行方知れずになってしまい、出家をすることで鶴との婚姻を避け本領安堵を手にしたおとわが、僧としての修行に耐えられなくなったときに、鶴は「竜宮小僧」として亀を支えられるように頑張れと励ましました。
ひとを身分や親のしたことで差別をしない。このおとわの持つ性分が一年の間ずっと底に流れていて、おんなだから、おとこだから、賊だから、家来だから、という属性でひとを決めつけない、判断しない、彼女の魅力が溢れた鶴への言葉がとてもとても好きです。
子供時代の4話、大河だからこそできる長丁場での物語の紡ぎ方、積み木をひとつひとつ積み上げて見せる心の動きの機微。本当に出会えて感謝しかないドラマでした。
そして。
これまでずっと直虎と政次についてああだこうだと書いてきましたが、ひとつだけ。
ふたりについてはいろんな考え方があって、ファンはもちろん、役者の方々、公式や脚本家さんそれぞれが違う感じ方考え方をしているのがとても面白いと思っています。
ふたりに添い遂げて欲しかった方。ふたりには全く恋愛関係は相応しくないと思う方。ちょっとは恋愛の気持ちがあったのではないかと思う方。なつさんへのプロポーズに賛成反対。
ここまでの喧々諤々は、いろんな方の思い入れがあるからこそのものであるだろうし、直虎が自分の気持ちをあまり見せなかったことにも不満や批判もあるだろうと思います。(私もありました)
直虎役の柴咲コウさんが自身が曲を作り、そこに直虎から政次への思いのようなものを作詞したのも余りにも思いが溢れてしまったからでしょう。
私自身も、32話で、政次がなつにプロポーズした時にはあたまが真っ白になってしまったし、なんとなく自分が期待し続けた虎政の関係じゃないよぅ…と悲しくなったことも否定しません。
でも。今は、ふたりはあれがベストだったんだと思います。政次が直虎は殿として、なつは妻として、ふたりを違う意味で愛しながらその後の人生を生きようとしたこと。直虎が政次を恋愛の対象として見れなかったこと。それは子供時代に既に既定だったと思うに至りました。
ふたりの醸し出す空気が恋愛じゃなかったからこそ感じることができたもの。それは簡単にいえばブロマンスのようなものかもしれませんが、政次が一方的に直虎を思い、直虎は政次を男としては見れないけれども、死した後龍雲丸が呆れるほどにこころに居続けた。
そこに、私は虎政の、誰にも入り込めない、比類なく唯一無二の関係を感じることができるのです。それは夫婦や恋人いうかたちではなく、主従と幼馴染と同志の関係が混ざりながら拗れた空気。
そこに惹かれて止みません。
ひとつだけ。
直親が後ろから直虎を抱きしめ、政次は直虎を後ろから羽交い締めにしました(理由はアレだけれども)。だから、私は最後の最後、直虎が政次を後ろからそっと抱きしめる場面があるんじゃないかって期待していたことを告白します… そこに恋愛感情はないのだけれど、家のために死んでいく政次への最初で最後のハグ。
ちょっとだけ、ちょっとだけ見たかったです…
最後に。
直虎の制作者の皆さま、演じられた方々、そして一緒にTwitterで泣いてくださった方々、さまざまなコメントを寄せてくださった方々、全ての方に感謝します。本当にありがとうございました。これからも直虎話、しましょう!!
直虎を盗み見る政次の顔が…
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