獣になれない私たち。共感できないのに観続ける理由
共感できない登場人物の出ているドラマをなぜ見続けようと思ったか。
自分を大事にできない主人公
1話からモヤモヤイライラしっぱなしだし、グワーンと頭叩かれたみたいにそこかしこにリアルな社会の破片というかカケラが散らばっていて、こちらに刺さって痛い…
何と言っても主人公への私自身の思いが複雑なんです。
晶って、相手の思ってる事を全部察しますよね。そしてその人がして欲しいように、動いてしまい、言いたいことを言わずに思ってる事を出さずにこうして欲しいだろうと先回りもしたりしますよね。
社長に対してもそうだし、恋人である京谷に対してもだし、職場の、責任感て言葉が辞書に全くなさそうな後輩たちにだって。
私も昔そうだったなぁと晶の気持ちがわかったり… いい子でいたい、嫌われたくない、誰からも好かれたい。
八方美人で、自分の思いは後回しにするところ。
1話の最後で、あまりにあまりな社長に反旗を翻そうと戦闘態勢の洋服着てたりしてましたけど、長年いい人やってきた習性はそんなに簡単に抜けられないです。
誰彼にも都合のいい人になってきた代償はそう簡単にチャラにできないもの。
自分さえ我慢すればいいんだ、っていう思考回路、自己肯定感が低い故なんでしょうが、自己肯定感て一朝一夕でどうにかなるものじゃないんですよね。
自分を後回しにしたりないがしろにしてると、だんだん自分の気持ちが薄れていくんです。
そしていつのまにか、何をどうしたいのか、わからなくなっていきます。自分でも無いものとして扱います。それは、他人へ自分の事を後回しにしてもいいよ、というメッセージを出してることになるんです。
えー?!な台詞
「バカになれたら楽なのに。」
というセリフ。
そうだよねそうだよねー、晶って可哀想… て思います?
何えらそうに言ってんのかな?晶は。って思いました。
バカにならない事を自分が選び続けているわけだし、社長にいいようにこき使われてるのも自分が選んでいるんだし、恋人が煮え切らないのもしょうがないと思って自分で選んでる。
決して他の人のせいじゃない。
そりゃひどいです、誰も彼も。仕事せずに家に居続ける元カノも、その元カノに強く言えない彼氏も、パワハラモラハラ全開の社長も。
でも。晶は、自分をそんな風に扱われることにノーを出してない。ノーどころか、そうされてもしょうがない空気を出してる。
突き詰めてノーを出すと自分が自分で居られないから。嘆きながら、そうされて嘆く事が唯一自分の存在理由であるかのように考えてるみたいに見える。
だから、バカになろうって言葉では言ってるけど恒星の家に行きながら、全くバカになろうとしてない。その気はない。キスをしない選択、に全て表れている。そもそも、恒星の行動に委ねている訳だから(恒星寝ちゃったし)バカになってなんかない。
晶は、自分に向き合う事を避けてるように見えます。何をどうしたいのかを全部先送りにして、とりあえず、の人生を生きてる。
とりあえず
営業アシスタントから横文字のなんか良くわからない適当につけられた肩書きに対してもなぁなぁで。社長からグレた、という言われ方をされても抗議しない。
好意の寄せ方がかなりひどい後輩にも、彼がして欲しい事(ゴーヤー関連)をしてあげようとする。たしなめたり、怒ったり、しようとしない。
とりあえず、で毎日を過ごして目の前の面倒なことには目をつぶってるように見える。
波紋
そこに石を投げ込んだのが、恒星の元カノ?呉羽で、彼女の彼女らしい方法によって、とうとうと言うかやっとと言うか、晶は今まで取らなかった行動に。
恋人京谷の家に居ついている元カノに実際会いに行って… で4話が終わりました。
晶見てるともどかしくてイライラするしモヤモヤするし、今まで観てきた野木氏の逃げ恥とかアンナチュラルの様なカタルシスを感じることが出来なくて週半ばの夜遅くに観るにはストレス発散どころか、逆に溜まっていく感じなのですが。
なのに、どう言う収束のさせ方をするのか、とてもとても興味深くて目が離せないんです。
京谷は元カノ(朱里)ときちんと清算することができるか。介護をしている母との関係は?
朱里はどういう仕事を選んでいくのか。過去との折り合いをどうつけるのか。
恒星は家族との軋轢にどう対処していくのか。
そして、晶。
既視感ある終わり方なのか、全く我々の予想を超えてくのか、重いまま、救いのないままなのか。野木さんはどんなメッセージを投げてくるのか。
こんな風に主人公に共感できないのに観続ける事って今まであまりないので、新しい世界が観れるかもしれなくて楽しみなんです。だから観続けます。
京谷や恒星の持つ魅力についてはまた書きたいなと思ってます。
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