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「ヤクザと家族 The Family」 <ネタバレ>「ひとつ除けば大満足」

ギリギリ終了前に行ってきました。

https://www.yakuzatokazoku.com/

 

任侠という言葉がまだ残っていたように思える1999年から、2019年までの20年間の物語。

 

ヤクザ世界の疑似家族が自分の家族そのものだった男が、本当の家族を掴もうとしたけれど、それを許してくれない社会の圧力。

 

義理人情、任侠の世界に生きてきたのに、10年以上の服役により社会から離れている間に新しい法律が施行され、携帯電話も作れなくなり、「反社」と呼ばれるようになる。

 

そのどうしようもなさ、哀しさ、静かな怒り。綾野剛以外に誰がこれ以上の「山本賢治」になれるだろうか。

 

後半の2019年の風貌は、「そこのみにて光輝く」の佐藤達夫にほんとうによく似ていた。背負っているものの重さだったり苦しみだったり、彼の放つエネルギーの熱量に観てる方は引き込まれて渦に飲み込まれてしまいそうになる。

 

疑似家族とその手に掴めなかった本当の家族、家族のように過ごしてきた仲間との関係の終わり。悲しかったなぁ。ただただ悲しくてどうしようもなかった。

 

 

 

1つだけ、少し不満な点を。

 

「おやじ」というポジションの柴咲組組長の舘ひろしとの関係は見ていてわかりやすいものであったし、その関係の構築が納得できるのと反対に、北村有起哉扮する組の若頭と、賢治(綾野剛)の関係について。

 

中村(北村有起哉)の代わりに自分が抗争相手を殺したことにして刑務所に入る。ここの一番重要なシーンに行くまでに、もっと賢治と中村の複雑な感情や関係性を描いてほしかったなぁと思うんですよね。

 

中村のちょっとした嫉妬みたいなものは表れてましたよ。それをもうちょっとねじれた感じで観たかったというか。2人が深く結びついていて、だけれども疑心暗鬼も生まれてきて…みたいな、そういうエピソードが観たかったです。

 

20年間に渡る多くの人間関係を描いているので、そこまで掘り下げる時間はなかったんだろうなぁとは思うのですが…

 

比べて、抗争で死んだ男(柴咲組の組員)の息子、翼(磯村勇斗)については子供の頃から丁寧に描かれていたと思う。この翼の存在が、賢治が出所して社会に戻ってきた2019年の象徴そのものだった。

 

最後までこの賢治と翼の関係のエモさに泣いた。

 

翼と彩(賢治の娘)がふたりで埠頭に立っているシーン、あのエンディングは泣けます…ほんとに。

 

ギリギリの日程を頑張って観にいった甲斐があったというもの。友人が是非観てほしいと言うので頑張ってよかった。映画館で観たほうが良い映画ってあると思うのですが、これは本当に2時間半弱、どっぷりこの世界に浸ったからこその後味、ずぅぅぅぅぅんと残りました。

 

millennium paradeのエンディング曲がこれまた合いすぎでしょ… このMVを見ることでもってこの映画が終了するんじゃないかっていうツイートもちらっと見かけました。

観終わった後に、タイトル下のポスターを見ると、あああああああああああああって声が出ます…(時空を超えてるこれ…)

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お越し頂きありがとうございました。

あじさい