MENU

BREAK THE SILENCE :THE MOVIE 「不要不急じゃないもの、そしてアイドルとは」

MUSIC DAYに出演した彼らを見てからというもの、ハマってしまいました。BTSに。

https://breakthesilencethemovie.jp/

Dynamiteの威力

Youtubeには砂漠の砂の数ほど動画が溢れているし、ネットやTwitterをのぞけばいくらでも情報が手に入る。今までそこにあっても見えてなかった彼らが等身大のひととして浮かび上がってきました。

 

K-POP業界の事も全く知らなくて、何の基礎知識もないけれど、Dynamiteを初めてApple Musicで聴いた時になんか電気が走ったというか感電したというか、ゾクっとしたんです。

 

そこから動画を見まくり、音楽を毎日聴き、最初は名前と顔の区別も全くつかなかったのに、ひとりひとりの魅力が浮き彫りになってきて、たまたま映画が上映されてることを知り、これは行かねば、と行ってきたわけです。前置き長くてすみません。

 

https://note.com/idoltohibi/n/nbe7e4b3a4e8a?magazine_key=m44107b1a929e

 

観た後に、ネットで見つけたこの方の記事がすごくすごく愛があってもう素晴らしい文章でした。こんなファンを作るグループって…

 

私は自分が10代の時、当時アイドルと呼ばれている人やグループが好きだったなぁと思い出しました。コンサートにも行ったし映画も観に行った。でもいつのまにか離れてしまっていたんです。

 

アイドルって儚い。10代の頃そのアイドルに夢中だった自分に進学があり誰かを好きになったり結婚して子供が生まれたり、自分の人生に忙しくしているうちに気持ちが離れてしまっていた。

 

彼らも紛うかたなきアイドル。全世界にファンが居て、アジア初、という冠のついたニュースを数年前から耳や目にしていたけれど、自分のコアな部分には入ってこなかった。

 

それが、Dynamiteという曲とMVで一気に落ちて(堕ちて)しまいました…

 

コロナ禍にあって、不要不急だと言われたものが実は私たちには火急に必要なものだったことが数か月の自粛後明らかになった、と以前の記事にも書いたけれど、私にとって音楽や映画やドラマがどれだけの力とエネルギーをくれるものであったか、このDynamiteで更にその思いを強くしてます。

 

 

人気がものすごくて、若くて、華やかで、歌もダンスも上手で。Youtubeの動画を観ていてわかったことがあります。彼らがステージ上だけではなく自分たちのプライベートも動画にしているということ。

 

本当の意味でのプライベートが彼らにどれだけあるんだろう… と考えてしまうくらい、生活のほとんどをBTSとして生きている彼らのドキュメンタリーである、この映画。もっと娯楽的な作品かと思って観に行ったのですが…

哲学的な言葉と悟り

2019年の世界ツアー。さまざまな場所でライブを開く彼らをカメラが追う。一つの場所で一人をフィーチャーし、インタビューを紡いでいく。

 

細かい言葉は覚えてないんだけれど、全員が自分の存在、アイドルとしてBTSのメンバーとしての存在について、かなり言葉を尽くして話していたと思う。

 

韓国語から日本語への翻訳という形でしか理解できないのが悔しいくらい、彼らのダイレクトな考えを知りたいと思ってしまった。言葉の壁って思わぬところで悲しくなるんだなと。

 

それにしても、全員が哲学的だった。どれだけここにくるまで葛藤があったんだろう。デビュー時、売れたい、有名になりたいと思っていた筈の彼らがどんどん有名になる、売れていく、それが世界規模になっていく。

 

本来の自分と、周りから見られる自分との乖離がどうしたって出てきてしまうんだろうと思う。それをどう捉えてどう活動していくか、彼ら7人の考え方がおんなじじゃないのがとても面白い。

 

例えば、ジンは「キムソクジンとJINを分離するタイプ」だと言っていた。きっと表では見せないキムソクジンも大事にしているんだと思う。Vことテヒョンもそういうタイプだと言ってたような気がする。

 

アイドルであるということは、ファンである人たちを喜ばせ楽しませ夢を与える職業だと全員が理解しているプロ集団。アイドルって言葉を聞くと、どうしても素人に毛が生えたくらいのイメージしかなかったけれど、彼らの意志や姿勢には何周かぐるぐると自己との対話をしたであろう7人の覚悟というか矜持というか悟りというか、そう、悟りだ。

 

すべてを受け入れ生きていくことを決めた人たちの姿に途中で泣いてしまってる自分がいた。

 

ジミンが友達全てを失ったと告白したところはひとつのハイライトだった。

 

アイドルとは

もちろん、この映画自体すべてがドキュメントではないかもしれない。脚色や脚本、演出だってあるだろう。ひとつの作品として商業ベースに乗せるために作られた部分だってあるんだと思う。

 

ただ、彼らが何か自己欺瞞のようなものをもってしまったとしたら、この巨大化したプロジェクトを長く続けていくのは不可能ではないかとも思う。

 

求められる像と自分自身、ファンへの思い、アイドルとしての使命。有名になってしまったが故に制限されるであろう私生活。

 

アイドルとは 〘名〙 (idol 「信仰の対象としての偶像、神像」の意) 崇拝される人、物。あこがれの的。現在では多く、熱狂的なファンを持つ若い歌手、俳優などにいう。 https://kotobank.jp/word/%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%89%E3%83%AB-10564

 

BTSの歌う「idol」という歌の中にこんな歌詞がある。

 

You can’t stop me lovin’ myself
お前は俺が自分自身を愛すことを止める事はできない
アイドルである前にひとりの人間。と云うようなことはもう言い尽くされた言葉だろう。彼らはその先にいこうとしてるのではないか。
ファンの為に活動する。のその先へ。
自分を愛する。自分を肯定する。まず彼らはそれを実践することで、ファンへのお手本を見せる。アイドル=偶像から、それを越える存在へ。最初の方でアイドルは儚い、と書いたけれど、彼らはもうそういうのを越えてしまっている。
彼らがカッコいいパフォーマンスをしている動画、楽しそうにご飯を食べている動画、それらを見て元気になる。そしてこの映画では彼らの苦しみや葛藤ですらもファンが共有できるよう見せる。
消費という言葉がある。アイドルである彼らを私たちは自分たちにいいように消費してるだけなんじゃないかという疑問や恐れ。
しかし、そんな危惧すら思い起こさせない存在になってるように感じた。この映画で。
新参者の私の勝手な映画評でした。
[itemlink post_id="5114"]
*************
お越し頂きありがとうございました。
あじさい