MIU404 ＜5話ネタバレあり＞「見えない見たくない」
5話「夢の島」。
あらすじはこちら。
https://www.tbs.co.jp/MIU404_TBS/story/vol5.html
日本人店員が勤務するコンビニを狙った強盗事件が同時発生する。伊吹（綾野剛）と志摩（星野源）は、現場周辺の店舗でコンビニ店員に扮して張り込みを行うが、なんと、その店舗も強盗に襲われてしまう。さらに付近の店舗も次々と強盗に襲われるが、マークしていた捜査員によって一斉に確保される。犯人は外国人で、その大半が低賃金で労働する元技能実習生だった。 伊吹と志摩も同様に犯人を捕まえるが、二人に仕事を教えた留学生のマイ（フォンチー）が勤務する別店舗では、犯人を取り逃がしていた。その一件が発端で、マイに共犯の容疑がかかってしまう。伊吹と志摩は、マイの関係者から話を聞くために彼女が通う日本語学校の事務員・水森（渡辺大知）を訪ねるが… そんな中、伊吹は恩師であり元刑事の蒲郡（小日向文世）に会いに行く。今は外国人支援センターで働く蒲郡から外国人労働者の実態を知った伊吹は、思わぬところから事件の真相に迫ることになるのだが…
いつもコンビニや街中で見えているのに「見てない」人たちに光を当て、潜在する問題を炙りだした5話。
GOTOに度肝を抜かれた視聴者
しかし。画面にGO TO KONBINIの文字が出てきたときには「は？？？？」って声が出ました。
今、コロナに関連してGOTOトラベルとかキャンペーンとかいう愚策で世間を翻弄させてる2020年7月を予言したの…？
野木さんがTwitterで、ほんとに偶然のことで脚本を書いたのは3月くらいだと言及してたのでほんとに偶然オブ偶然ってことで…
野木さんの脚本と言えば、「アンナチュラル」で、MERS（中東呼吸器症候群）を扱った回があって、今回のコロナ禍でこの回を思い出したってことがあったし、仮想通貨詐欺を扱った回もあったなぁ…
2018年と言えば、仮想通貨ビットコインが大暴落した年。
今回はタイムリーどころか、預言者みたいになってて、さすがに度肝抜かれました。彼女の嗅覚というかアンテナというか、言葉にしても小道具にしても目のつけどころは、どこからくるものなんだろう…
そして伊達メガネ
お話に出てくる小道具/モノの話を。
「MIU404」って、小道具を使って物語の核心に迫っていくのがたまらなく上手で、私自身が小道具が好きっていうのもあるのだけれど。
「おんな城主直虎」で、主人公直虎と幼馴染でもあり政敵にもなってしまう政次が、折に触れて囲碁をするんです。その囲碁の使われ方がもう悶絶もので…
囲碁の黒と白の碁石には、「太陽と月」「陰と陽」という意味があるというのを知って、この二人の関係をそのまま表しているじゃないの…と泣きました。
小道具に意味を持たせて物語に絡ませるの感動するし、パズルがカチッと合わさる感じがして好きなんです。
例えば、この「MIU404」だと、
- 1話「おもちゃのステッキ」
孫のために買ったのに暴走車で転んでしまい、どこかに失くしてしまうおばあさん。伊吹が犯人に銃みたいなものをつきつけ、志摩に殺していいよね、と聞く。その銃みたいなものはそのステッキだった。怒り狂う志摩。
- 2話「緑のパーカー」
被疑者加々見の着ている緑色のパーカー。真っ白のセーターが実は赤い血で染まってたのをそれを使って隠してて、犯人と分かるタイミングで緑のパーカー脱いでって言う演出。
- 3話「銀玉（パチンコ玉）」
志摩が、犯罪を犯してしまうのは、障害物にあたったり、誰と出会うか、出合わないか。スイッチがどう入るか、その時が来るまでわからない、と言った後、銀の玉をピタゴラ装置に置いて玉が装置を次々通って落ちていくのを伊吹がキャッチ。この回のラストでは、落ちてきた銀玉を九重はキャッチできない。
- 4話「ピンクのあみぐるみ」
自分の命は救わず、どこかの国の女の子を救おうと、1億円をルビーに換え、自分の作ったあみぐるみの目に埋め込み、海外へ送る… 救ったのは女の子だけじゃなく、自分自身のこころだったかもしれない。
そして、
- 5話「伊達メガネ」
SNSにあった書き込みによって行われた集団コンビニ襲撃。それに関連して訪れた日本語学校の事務員・水森（渡辺大知）がかけていたメガネが伊達だと気づく伊吹。伊吹がかけているメガネも伊達。見たくない世の中をそのまま直に見たくないから、フィルターをかけていたいが為に水森は伊達メガネをかけていた…？それなら伊吹は…
ちょい辛口気味な意見も…
志摩と伊吹の相棒コンビ。
前回より会話がちょっと空回りな感じがした… 作りすぎ？のような。
前回4話のラストの、志摩が銃口を自分に向けて犯人に「撃てば？いいよ俺は」の投げやりな行動に怒りをぶつけ、その後に見せた伊吹の相棒への表情もすごくよくて、この2人の緊張感と抜きの演技が良すぎてですね…
見たくないものは見えない
2話は、「人は信じたいものを信じる」（by志摩）回だった。
今回は、「見たくないものは見えない」だろうか。
外国人留学生を安価で使い倒す日本企業、逃亡、自殺などのニュースを見たことがある。
でも。
例えばコンビニで働く多くの外国人もいれば、コンビニで働けるくらい日本語ができない留学生はもっと悪条件でブラックな場所で働いている外国人もいる。
それがなかなか見えてこない。
ナウチューバーのREC（渡邊圭祐）が留学生問題を扱わないかと、テレビ局で働く先輩に持ち込むのだけれど、
「外国人問題って視聴率取れないんだよね 。テレビはお茶の間が喜ぶものをつくるのが仕事」
と取り合わないシーンがあった。
たぶん、これは本当なんだろうと思う。ワイドショーやバラエティを見ていると、「何が今起きていているのか、問題なのか」も、大事なのは「お茶の間が喜ぶもの」＝「視聴率」に見えてきてしまう。だから芸能人の不倫や自殺は大きく取り上げる。でも、興味なさそうなものに思えてしまう問題は取り上げない。
ひとつはテレビを作る側の問題。
そして、自分たちが知りたくないことや考えたくないことに「見ざる言わざる聞かざる」になってしまう私たち側の態度。
コロナでみんな疲弊している。誰かの心配をしている心的金銭的余裕もない。（ここは4話に繋がる…）
自分に関係ない人たち（と思いがちな）の問題を自分事としてとらえるのはとても難しい。ほんとに難しい。
それを、問題解決には遠いかもしれないけれど、「お茶の間が喜ぶこと」しか扱わないテレビへの批評と皮肉を込めて、このドラマにぶち込んできた制作側の粋な心意気に大きな拍手を送りたい。
REC「だからテレビは古いって言われんだよ」
10代20代の若いひとたちのテレビ離れ必至、Youtuberのもてはやされぶりを見ると、栄枯盛衰は世の習い…
関係性
私の好きなドラマは、人物同士の関係性が魅力的なことがまずあります。
直虎もそうだったし、アンナチュラルもおっさんずラブもふれなばおちんも全部そう。
今回もかなり盛沢山。
志摩と伊吹。
陣馬と九重。
陣馬と桔梗。
そして志摩と昔の相棒（村上虹郎）。
特に、陣馬と桔梗が以前どんな関係だったのか、知りたくてしょうがなくて。陣馬への桔梗の信頼度はものすごいし、隊長桔梗にはため口の陣馬。教えておじいさ～～ん！！！スピンオフをぜひ。
今回も最後、心配してました。
陣馬：「気をつけろよ。女の隊長を面白く思っていないやつらもいる。」 桔梗：「何を恐れているんだろうね。ただここにいて、働いているだけなのに。」
それにしてもこの桔梗のセリフ。日本語は主語がなくても通じるっていうのを上手く使ってるなぁと唸りました。「私が」と「留学生が」が隠れているように思えます。
他にも、最後にはひとりで強盗をして捕まる行動に出た水森が、
「外国人はこの国に来るな！」 「この国に来るな！」 「この国に来ちゃいけない！」 「ここはあなたを人間扱いしない」
と叫ぶところ、マイが水森のそばに行こうとするのを、「こっちに「来るな」共犯者だと思われるから」という意味でもあるかのようだった。
セリフ自体に複数の意味を持たせるところ、伊達メガネだけじゃなく、紫陽花（本来は桜の時期に撮るはずだったらしい）とカタツムリだったり、ベトナムビールの３３３だとか、数字の吉凶なども入れ込んでる細部にわたる細やかさが全体を支えてるんだと思う。
終わりに
そろそろ物語の終わりが見えてきました。
志摩の相棒がどんな最期を迎えてどうして志摩が「相棒殺し」と呼ばれるまでになってしまったのか、またこちらの度肝を抜く展開が待ってるんだろうな…
伊吹が伊達メガネをしている理由も気になる。
6話の小道具はなんだろう… 志摩が事件？事故？をフラッシュバックさせてるシーンではビールウイスキー？のグラスや瓶のようなものだったけれど。
一週間またMIU404のことばかり考えて過ごします。
2～7話の感想はこちら。宜しければ。
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