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「大豆田とわ子と三人の元夫」10話<まーさんに言わせる台詞の残酷さに泣いた>

とうとう終わってしまったとわ子…

https://www.ktv.jp/mameo/story/10.html

最初に言いたいのですが、私はこのドラマがとても好きです。好きだけれど、どうしてもここが自分には合わない、ダメっていうのがあり。

こういう風に感じるのはかなり珍しくって、このブログに書いているこれまでのドラマっていうのは、とにかく大好きで大好きで、思ってることを外に出したくて書いてきたんだけれど、とわ子に関しては、かごめの取り扱い方にはやはり疑問が消えてなくて、今回最終回でも、えええ??って感じてしまったことが後をひいてます。

なのでかなり批判的な事を書きますので、そういうのを目にされたくない場合はここでそっと閉じて頂けたらと思います。

母の思い出

1話で母との会話を思い出す場面がありました。

かごめとの会話で とわ子「24で結婚して子育てして勝手な夫と離婚してさ、お墓にこだわってたってことは人生が楽しくなかったのかなって思うよね。」

母の手伝いを思いだす。ダイコン短冊切り。餃子を一緒に作ったこと。洗濯物を畳みながらテレビを見ている。母もとわ子もうたた寝

穴に落ちてしまった時に思い出す過去の場面。 とわ子「お父さんはなんでお母さんと離婚したの?」 母「お母さんは大丈夫過ぎるんだね。ひとりでも大丈夫過ぎる人は大事にされないものなんだよ。とわ子はどっちかな。ひとりでも大丈夫になりたい?誰かに大事にされたい?」 とわ子「一人でも大丈夫だけど。誰かに大事にされたい。」 母「そう。」(母の背中) とわ子「でも、誰も見つからなかったらどうしよう。」 母「その時はお母さんに甘えなさい。」

この場面が気になっていて、これはどういう意味があったんだろうって。10話まで観て思ったのは、この時の「そう」と言いながら映される母の背中が物語る何か、なのかな。

この時の母の脳裏に浮かんだのはまーさんなんだろうか。母はとわ子の父と結婚したことを後悔していたんだろうか。

まーさんの存在

とわ子が最終回に見つけた、母が出さなかった手紙の宛先がまーさん(風吹ジュン)で、「母は人生が楽しくなかったのかな」っていうとわ子への答えを彼女がくれた。

でも、それでとわ子が救われたとして、まーさんはどうなんだろう?とわ子の母が自分を選ばなかったこと、そこからの人生のさまざまを飲み込んでとわ子を思いやって答えをくれた。

それって生まれた子供にその存在の意義を祝福してあげるという大人としてのあるべき態度だとは思うんだけれども、私はまーさん自身がしあわせだったんだろうか、どんな思いをしてきたんだろうか、とそれが気になって気になって…

まーさんのくれた言葉

異性愛だけのドラマだと思っていたら最後の最後でもってきたまーさん。それに対しては何も文句はないけれど、彼女の扱いが余りにも悲しくて、そっちの方で泣きたくなりました。

まーさんとの関係を終わらせてとわ子父と結婚、とわ子が生まれたことが「とわ子母のしあわせ」だったと言い切るっていうこと、それをマイノリティであるまーさんに言わせること、それって固定の価値観だけを肯定してることになりませんかね…?そして同性愛が「こども」を生まないこと故の否定につながらないですかね?

生まれた子供は全て祝福されるべきという考えが前提条件ですが。

とわ子「正解だったのかな。」 まーさん「正解だよ!そっちを選んだんだからこんな素敵な娘が生まれて、孫も生まれて、夫にも愛されて、生涯幸せな家族に恵まれたわけでしょう?良かったんだよ、私を選ばなくて。」 とわ子「母はしあわせだったんですね。ありがとうございます。」

「娘」「孫」が生まれて幸せな生涯だった、というこの言葉をまーさんに言わせる残酷さ… マイノリティを駒に使ってませんか…?

かごめの件をまた思い出してしまいました。特にまーさんがコロッケを食べて登場したり、とわ子母とは小学校の時からの友達であるとか、まーさんとかごめを重ねて演出してますよね、これ。

かごめの台詞を思い出す。

「恋が素敵なのは知っている。ただただ恋愛が邪魔。女と男の関係が面倒くさいの。私の人生にはいらないの。そういう考えが寂しいことを知っているよ。実際たまに寂しい。でもやっぱり、ただただそれが私なんだよ」

恋愛に対してこういうスタンスの彼女を死なせてしまったのがやはりただただ悲しい。いつまでも元気に自分らしくかごめが生きていく姿を見ていたかった。

ひとりで生きていくことを肯定してほしかった。もちろん。とわ子が一人で生きていくことを選び、まーさんも一人で生きていて、とわ子母が選んだことも否定せず、すべてを肯定してこのドラマが閉じたことはわかってます。

でも、恋愛に気持ちが乗らないかごめみたいな人や、まーさんみたいな人が物語に都合よく使われている感じがどうしても私の中でひっかかってしまいました。ほんとに私個人の感覚で…

3人の元夫の素晴らしさや、会話の妙、観る人を選ぶかもしれないけど、好きな人にはとことん刺さっていくこのドラマ。全体的にとっても楽しく観てきたんだけど、この母の話の帰着にはモヤモヤが残りました… きっとTwitterの盛り上がりから見ると、こんな風に感じているのは少数かとは思いますが…

好きなドラマにも、好きじゃない部分もある。そんな私にとって新しいドラマでした。

https://yutaka-sukkiri.com/2021/04/16/towako-1/

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お越し頂きありがとうございました。

あじさい