親の病気で大事だと思うこと
親の病気について最近の状況などを。
母の発症の原因
母の病気は、父の病気の発覚を追いかけるかのように発症しました。父は前立腺がんのステージ2だったわけですが、大きな病院の検査というのはとてもとても時間がかかります。
待つ。検査。待つ。
市の検診で要検査になり、そこから詳細な検査結果を得るまで3か月近くかかりました。年末年始をはさんだことも待つ時間を長くした原因でした。
「父がガンかもしれない」
父の定年後、元気で穏やかな暮らしに突如襲った黒くて深い不安でした。
元来後ろ向きでネガティブな母は、この不安要素で心も体も折れてしまったんでしょう。以前から、いつもいつも、何か心配なこと、不安なことが自分の身に起きると考えていました。
例えば認知症。自分は認知症かもしれない。物忘れがひどいと、すぐに認知症という言葉を口にしていました。
父の病気がガンだと判明してしまえば、そこから打つ手を考えることができる。でも、ガンかもしれない。いや、ガンじゃないかもしれない。と悩み心配する時間は、母を蝕んでいきました。
身体と心
身体が動かなくなり、心も更に後ろ向きになっていきました。おかしいと初めて思ったのは、車に乗る時の動き。動きが遅く、とても時間がかかっていました。
そのうちに、お金をお財布に入れられなくなりました。手指が動かないように見えました。
そして、見えないはずのものが見える、と言い始めました。夜眠れないせいか、昼間にうとうとすることが多くなり、明らかに鬱症状を表していました。
かかりつけの医師からは、パーキンソン病という診断をされ、その薬を飲んでいました。が。
私が傍で見ていると、どうしても身体機能だけの問題には思えませんでした。心も同時に病んでいて、身体と心の両方が何かに取り憑かれてこの世界に留まっているのを拒否しているように見えました。
症状からあたりをつけて
2か月ほど経っても、処方薬が効いている様子が見られず、とうとうペットボトルからどうやって水を飲めばいいのかわからない、と言いながら、ぽとぽと水が母の膝に落ちました。今の病院じゃだめだ、と思いました。
それまで見てきた様々な症状をGoogleに打ち込んで見つけた病名は聞いたことのないものでした。それが「レビー小体型認知症」。パーキンソン病に似た身体のこわばり、見えないはずのものが見える幻視、鬱症状。全てがあてはまりました。
この病気のことを理解し、わかってくれる病院を探しました。
拒絶そして
病院はすぐに見つかりましたが、一度母から拒絶され、父からも勝手なことを言うなと反対され、行かせることができませんでした。そこから1か月ほどたって、母がもう動けないところまできて、やっと父が決断しました。
ようやくその病院を受診することができ、やっと診断が下りました。思ったように、「レビー小体型認知症」でした。
そこから、母に合った薬を処方してもらい、みるみるうちに元気になりました。身体が動けるようになると、気持ちも上向きます。若い時から洋裁や手芸が大好きで、ずっと続けていた絵手紙も描くまでになりました。最近季節ごとの葉書が届きます。
家事もします。ご飯も作ります。もちろん以前のようにはいきませんが、一番ひどい状態を見ているので本当に奇跡のようです。
父のガンも転移することなく、放射線治療と服薬でなんとか良い方向にむかっています。。去年の秋には母の実家の九州まで二人で旅行へ行っていました。
否定しない
この病気を知らない医師もいます。病院にかかっているからといって大丈夫と思わない方がいいのです。
また、レビー小体型は、幻視という特徴があります、この幻視がやっかいで、見えないものを見える、と家族に言うと、あり得ない、とか、見えるわけがない、などまず否定されてしまうのがオチだったりします(父はいつもそう言っていたようです)。ひどい時には父は怒ったりもしたそうです。
そうすると、もうそのことを誰にも言わなくなります。自分が悪い、自分のせいだ、と考えてしまい、余計殻に閉じこもります。
本人の辛さを
もし、ご家族がそういうようなことを訴えられたら、ちゃんと聞いてあげてください。そして、気になる症状をメモに残し、その症状を調べてみてください。
医師には患者の生活すべては見えていません。周りにいる人だけがわかることがたくさんあります。そこから導き出せる病名がもしかしたらあるかもしれません。
いちばん重要なことは、できるだけ本人の苦しがっていること、辛いことを取り除くことだと思います。その為には何ができるかを十分考えて話し合っていけるといいですね。
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あじさい