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絶対、はない


Snow

栃木で起きた悲しい雪崩事故。どうしてこんなことが。

 

 顧問として一番大事なこと

headlines.yahoo.co.jp

 

この練習を行うと決めたのは3人の教員で、安全だと信じて疑わなかったようですね。

 

ここから書くのは私的な考えなのでバイアスかかってるかもしれません。そこらへん含んで読んでくださいね。

 

私は、40を超えてから、中学校の教員を3年間していました。そのうち2年間はバレー部の顧問をしました。全く経験のない私が顧問をやらざるを得ない状況でした。

 

経験がなくてもやらなければいけないことはたくさんあるなか、最も重要なことが、生徒の安全を守るということでした。強くなる、勝つ、それはもちろん大事なことです。しかしそれよりまず、教員としてやらなければならないことは自明です。

 

スポーツには危険が伴います。え、バレー部で?と思われるかもしれませんが、初夏、6月くらいになると、気温が急に高くなり、体育館には熱気が籠って外になかなか出ていきません。生徒のなかにはその急激な暑さに身体がついていけず、熱中症のような症状が出る子が出てきます。

 

水分を飲むよう再三言っているのですが、それでも適応できない生徒もいます。そういう生徒を見極めて休ませ、これはと思えば保健室に連れて行って経口補水薬を飲ませたりもしました。

 

怪我もつきものです。手の怪我。足の怪我。準備運動を行っていても怪我するときはします。休日に他校へ練習試合に行き、ある生徒が怪我をして歩けなくなりました。保護者にすぐ連絡をし、迎えに来てもらいます。保護者が来るまでずっと生徒と一緒に待っていたことを覚えています。

 

肝を冷やしたのは、ある生徒がスライディングのような形でボールを取りに行き、歯を折ったことでした。

 

その日はたしか土曜日の昼間で、すぐに近くの歯医者を調べ、車で連れて行きました。保護者に連絡をし、来てもらいました。前歯が一本折れてしまっていました。誰が悪いのでもないです。彼女はとても真面目で頑張ってボールを取りに行った。そうしたらはずみで歯が折れてしまった。

 

それでも、顧問として私は歯医者での数時間、居心地の悪さをずっと感じました。とにかく保護者に監督不行き届きを謝るしかありませんでした。

 

絶対、はない

この教員の方々は経験豊富で雪のこと山のこといろんなことを知ってらっしゃることはよくわかります。

 

 そして安全を信じて疑わなかった、と。「絶対安全だ」と思っていた、とあります。ううむ。

 

バレーでだって怪我します。野球部やサッカー部は熱中症対策が不可避です。バレーで前歯を折るなんて、私にとっては思ってもみなかったことです。

 

山に生徒を連れていき、練習をさせたい。強豪校だったようですから、特に練習には熱心な教員が多かったのでしょう。どうしても練習したい、させたい、という気持ちはわかります。

 

でも、やっぱり特に危険の伴うスポーツに対して、「絶対」という言葉は入れてはいけない言葉のような気がするんです。特に雪山登山は自然が相手です。6年前に起きた大津波だって、誰も想像すらしなかったことです。

 

彼らが経験豊富だからこそ、そんな雪崩を経験していなかったからこそ、想定外が頭に浮かぶことはなかったのでしょうか…

 

止めることの難しさ

旅行。遠征。お金をかけてどこかに行くとき、体調が悪かったり天候が悪かったりした時に中止するのは難しいです。

 

もったいない。という言葉が脳裏によぎります。私も子供が小さいときにディズニーランドに連れていき、二日目雨が降ってきた時も、カッパを買って遊び続けました。風邪をひかずに済んで良かったものの、あの場所で遊ばないともったいない、という考えがどうしても出てきました。

 

せっかく来たのだから。お金をかけているのだから。

 

だから何らかの成果を出したい。見せたい。そんな気持ちが雪崩注意報が出ているにも関わらず練習に向かわせたとしたら。

 

強豪校の教員が感じる責任とか重圧とか。そういうものがそれに輪をかけて背中を押したのではないかなと考えてしまいます。

 

保護者はときどき身勝手です。土日に練習を入れないと、「家にいても何もしない、ゲームしかしない、だから練習を増やせ。」と言う親もいます。土日両方に入れると、「家族で旅行に行けなくてなるから減らせ。」という親もいます。

 

全員を納得させ、黙らせるのは不可能です。ただ、強いチームの保護者はより顧問への希望、期待、圧力は強い、と側で見ていて思いました。

 

私自身、保護者だったので、たしかに顧問に対する不満はありましたよ。それを言わなかっただけで。

 

話が逸れました。

 

中学高校の部活動についてはさまざまな意見があり、最近、休日を何日以上設けること、という方針が出されたのを目にしました。

 

この事故を教訓に、部活動について、教員の負担について、そして危険に対する考え方について、保護者も、教員も、国も、なんのための部活動なのか?という根本的な理念をしっかり考え直す機会にしてほしい。もう保護者でも顧問でもない、部外者の私ですが、そう願っています。

 

いろんなことに、絶対、はない、のだと思います。

 

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お越し下さりありがとうございました。

 

人生には3つの「さか」。

 

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