今年の夏の1曲 「黒い靴」とふれなばおちん考
[caption id="attachment_2221" align="alignnone" width="640"] egonkling / Pixabay[/caption]
今年の夏は私の中で音楽が熱い。それも初めて聴くグループ。
先日、こんな記事も書きました。
そして、最近。昨日熱く語ってしまったドラマの主題歌をリピートしまくってます。
スガシカオについては前も書いたように思うのですが、2002年くらいからずっと聴き続けていて、今まで7回?くらいライブにも行きました。
彼は、例えば、SMAPの夜空ノムコウの歌詞や、KAT-TUNのREAL FACEの歌詞など、よく知られている曲が結構あって、NHKのプロフェッショナルの流儀のテーマ曲、PROGRESSは誰もが一度聴いたことがあると思います。
彼の凄さはまず、その歌詞にあります。
あれから僕たちは何かを信じてこれたかなぁ 夜空ノムコウにはもう明日が待っている あの頃の未来にぼくらは立っているのかなぁ 全てが思うほどうまくはいかないみたいだ 夜空ノムコウ
ずっと探していた理想の自分って もうちょっとかっこよかったけれど ぼくが歩いてきた日々と道のりを ほんとは”ジブン”て言うらしい PROGRESS
かっこわるい自分とか、うまくいかない現実とか、そういう部分をちゃんと見て、それでも一歩前へ進もうと言ってくれる。
選ぶ言葉がちょっとひねくれていたりして、ざらざらとした感覚がたまらなく、聴いてると中毒になったりします。
そして今回の「黒い靴」。
NHKプレミアムドラマ、ふれなばおちんの主題歌で、ドラマの中で初めて聴きました。
ドラマの最後、胸を締め付けられるような場面でこの黒い靴のギターが鳴るんですが、それがもうぴったりなんですよ。
ドラマを観ているときにはそれほど歌詞のほうには注意がいかなかったんですが、最終回近くになって、iTunesでダウンロードして聴き始めたら、何これ、ドラマの内容そのままな歌詞なんじゃないの、と気づきました。
あの黒い靴 いつかボロボロに朽ちて ぼくの中の君の笑顔はそうさせはしない
黒い靴が朽ちる。どよんと不吉で不安なイメージ。3:10 から3:20 の、ベースの部分に耳をすましてみてください。私には、ドラマの中の佐伯の気持ちとリンクして彼が泣いているように聴こえてくるんです。
どんなに望んでも 叶わないこと ぼくはそれを 知りたくはなかったけれど ぼくの胸に置き去られた 君のいろんな素顔 もう片方の思い出は 君の中にあってほしい
この部分、最終回を見終わったとき、ここにラストの衝撃が詰まっていたのだ、と思い知らされました。
ぼくの胸にある君の素顔は、時間とともに朽ちていく黒い靴とは違ってそうはさせないならない。なぜなら永遠になるから。それはつまり死、、、
もう片方の思い出=ぼくとの思い出 は君の中にあってほしい、、、それは佐伯の死によって、夏の中にずっと永遠に刻まれてしまった。
生きていれば気持ちも風化するし、素敵な思い出も黒い靴のように朽ちていくかもしれない。その思い出を時々思いだして心が痛むことがあるかもしれないけれど、普通の日常の幸せな生活の中ではちりっとした痛みだけですぐに忘れてしまうかもしれない。
なのに。彼の死は、もうその日常のささやかな幸せに戻ることができないことを意味する。彼の、そして彼との思い出は忘れることを許さない。そこまでの恋だった、愛だった。佐伯の死によって、この2人のつかの間の恋は、永遠にもう触れることのできない場所へと昇華してしまった。
なんてことを考えてます。(昨日もそうですが、どうしても佐伯の死の理由を探してしまう)
こんな風にネタバレしてるのにそうと見せない歌詞!!
黒い靴、というタイトル。不吉な感じ。ヒリヒリ、ざらざらした雰囲気を醸し出す言葉の選び。
あまりにもドラマとリンクしていて脱帽です。ドラマが終わった後、この夏はきっとこの歌を聴き続けることでしょう。
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