「へーを生まないで」カルテット 8話
この8話の視聴後の気持ちをなんと呼べばいいのかわからないまま2日経ちました。
切ない?胸きゅん?ズッキューン?つらい?苦しい?
一言で表せないこの気持ちを何と呼べばいいんだろう… そして僕は、途方に暮れる…笑
全ての台詞を書き残したい気持ちがふつふつと沸いてくるくらい、全ての場面を頭にインストールしておきたいくらい、この8話が好きです。
へー
冒頭のわかさぎ釣りで夢の話を始めた3人に対して、家森が言うことばに、思わず「へー」と思ってしまった。
このドラマは会話の中でいろんなことを気づかせてくれたり、私が見えてるのに見てなかったことに焦点をぱっと当ててくれたりして、それにうわぁっとなったり、しんみりしたりしてるんですが、この会話もそのひとつです。
マキ「私昨日の夜、、ははははは、あの、面白い夢をみたんですけどぉ。私たち大劇場のステージで演奏することになったんですけど。いざ行ってみるとなぜか空中ブランコやることになってー。わーとかなっちゃってすごく大変だったんですよー。」
別府、すずめ「へー」
別府「あ、そういえば僕も面白い夢みました。ある日突然四人の体が入れ替わっちゃっうんです。」
マキ、すずめ「へー」
すずめ「私も昨日、、ふふふ…」
家森「ちょっとちょっとちょっと君たち。いったいなんの話をしているのですか。」
すずめ「夢の…」
家森「夢の話じゃないでしょうね。」
すずめ「夢の話です。」
家森「マキさん、人の夢の話聞いてなんて答えます?」
マキ「へー」
家森「すずめちゃん。」
すずめ「へー」
家森「人の夢の話聞いてもへーとしか答えられないでしょ。へーからは何も生まれませんよ。へーを生まないで。」
「へーからは何も生まれない」
すごいよね。すごいすごい。家森って、ゴミ出しもしようとしないし、トイレの便座の修理も別府くん頼みだし、バイトも制服で決めようとしてるし、なんだか残念な感じが漂いすぎてるんですが、もうこの言葉だけでいい。
許す。大丈夫。家森~~~~。
8話に漂う「へー」
この冒頭の家森の「へー」発言から、8話に「へー」が数度現れます。
すずめ「家森さん、もしかしてマキさんのこと好きなんですか!?」
家森「ぼくは好かれたいだけでひとを好きにはなりません」
すずめ「いい物件紹介しますよ」
家森「君、僕を追い出そうとしてるの
すずめ「私は私でアパート借りようかと思ってるんです。もちろんカルテットは続けますけど。独立しようかなって」
家森「ここあるじゃない」
すずめ「別府さんの負担になってるんです。
家森「へーー」
すずめ「私、夢のはなししてませんけど」
家森「 夢のはなしでしょ片思いってひとりでみる夢でしょ。すずめちゃんがここを出たいのはさ、マキさんを見てる別府君を見てるのがつらいからじゃないの」
すずめ「へーー」
家森「両思いは現実。片思いは非現実。そこにはふか~い川が…」
すずめ「協力してください。ふたりがうまくいくように。」
家森「へーー」
いろんな「へー」があるんだけど、この場面のすずめちゃんの、
「私夢の話してませんけど」と、家森に「つらいからじゃないの」の後の「へーー」これに泣きました。
この「へーー」の重ね方。重層になって複雑になっていって、
マキ ← 別府 ← すずめ ← 家森
という図式になっているのを知っている私は、すずめちゃんの別府君への思いと、家森の思いを知らないすずめちゃんが家森に言う「へーー」と、家森の心も見えてくる「へー」にノックアウトされました…
すずめちゃんも家森も、もう「へー」としか言えない、そんな会話。
使っていい??使っていい??
なんていうみぞみぞする脚本…
「へーー」じゃなくて「ありがとう」
「へー」を生まないでって言っていた家森がSAJの三段活用について話し始めます。
家森「興味のない人からの告白って夢の話と一緒でしょ。『へー』でしょ。別府くんに告白されてもマキさん困ると思うよ。“SAJの三段活用”になりますよ。」
すずめ「SAJ? 何ですか。」
家森「好きじゃない人から告白されたときどうする?告白して玉砕しちゃったときはどうする?君ちょっと告白して。」
すずめ「え??」
家森「して。告白。」
すずめ「好きだね、そういうの…」
すずめ「好きです。 ん?」
家森「ありがとう。こう言うしかないでしょ。興味ない人に告白されても。」
すずめ「返事になってないですよね。」
家森「返事したらだめだもん。へーって言ったら傷つけちゃうでしょ。好きですー、にはありがとうー。」
すずめ「それがS、A。Jは?」
家森「好きです。」
すずめ「ありがとう。」
家森「あ、あ~~~、冗談ですって。」
すずめ「へ?」
家森「冗談です。これ。このJでSはなかったことになるから。」
すずめ「なかったことになるかな。」
家森「ことにして、みんな生きてるの。」
夢=「へー」=「片思い」
片思いを、S「好きです」→A「ありがとう」→J「冗談です」
で、なかったことにする。
Sをチャラにして、自分の傷を深くしないよう防衛する。
ありがとうって言われても、傷ついてるじゃん、家森。すずめちゃんに「ありがとう」って言われたときめちゃめちゃ動揺してたし。
ありがとう、でも苦しいのに、へーなんて言われたらどうなるか… だから、「へーを生まないで。」なのかな。
最後は別府・マキで
別府「僕やっぱりマキさんのことが好きです。」
マキ「またですか。」
別府「またですが、好きです。」
マキ「ありがとう。」
別府「マキさん。」
マキ「ありがとう。」
別府「好きです。」
マキ「サンキュー。」
別府「もう一緒にいるのつらいです。このままだったら離れた方が…」
マキ「え?」
別府「ふっ。冗談です。」
マキ「ですよねー。」
SAJの三段活用。別府君が活用してました。好き好き大好き、と押し付けてくる別府君をありがとうx2&サンキューでダメ出しのマキさんのちょいブラックな表情がいい。しかし別府、懲りない…
そうして最後の最後にね、
たこ焼きやさん「ちょっと前にもね、お客さんでいらしたよ。好きな子がお腹空かしてるから持って帰りますって。」
マキ、別府「へー」
たこ焼きやさん「恋人さん?って聞いたら、いや、片思いだって。」
マキ、別府「へー」
この二人の「へー」で締めるんですよね。それも二回。
世の中には「へー」としか返せないことがたくさんあって。誰かの自慢話も、誰かの夢の話も、誰かの片思いも、誰かの生い立ちにも。
でも、「へー」で会話が成り立っているってそれはそれでいいんじゃないかなって。
確かに「へー」を生まないでっていうのすごくよくわかる。わかり過ぎる。 それでも、大した話じゃない「へー」なことが潤滑油になっていることもある。いつもいつも人生論や友情論やネット論を論じ続けるのも疲れてくるしね…
でも「へーを生まないで」って言うめんどくさい家森は愛すべき人間だし、そんな「へー」から話がいくらでも生まれてくそんなドラマがとても好きです。
すずめ、家森、別府3人の思いはどこに行くんだろう。どうか置き場所が見つかりますように…最後にまたまた期待を裏切らない展開に言葉が見つからなくって、やはり途方に暮れます…
Twitterで拾った「へー」についての言葉。
魚類の呪い。カルテット。WBC延長でジリジリした人たくさんいるはず。いやもう今日は寝て、録画で観ようと思ってまだ観ていない人もいるはず。最も切ない回だったかと。満島ひかりに泣かされて、高橋一生にほだされて、大倉孝二に驚かされて、もう大変。「へえ」をこんなにしっくり説明されるとは。
— 吉田潮 (@yoshidaushio) 2017年3月8日
片想いは非現実で夢の話。そんな話を聞かされても、へえ…としか相槌の打ちようがない。ひとり目覚めれば、涙ひとしずく。 #カルテット
— 玉川 薫 (@tamagawakaoru) 2017年3月7日
コンサートを観た後に真紀さんと別府さんがたこ焼きを買って帰るわけだけど、店員が「好きな人(片思い)がお腹を空かせて待っている」男の人が来た話をして、二人とも「へえ〜」と返して、それが冒頭の夢の話と繋がり、片思いは夢だと強調しているようで、そういう話の流れがとても好き #カルテット
— あさぎ (@asagi10_) 2017年3月8日
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